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現在、ファクタリングは金融庁も推奨するほどおすすめの資金調達方法となっていますが、手数料の高さなどから卒業をおすすめする方も少なくありません。しかし、計画的に利用することができれば、資金繰りが苦しい中小企業や個人事業主にとって有効な資金調達方法であることは間違いありません。本章では、ファクタリングは卒業するべきなのかについて解説していきます。
ファクタリングは、資金繰りの悪化や急な出費が発生した場合など、急を要する資金調達にも対応することが可能です。また、売掛先の倒産や経営悪化などにより、売掛金が未回収となってしまうリスクも回避することができるため、有効な資金調達方法だといえます。さらに、独自の審査基準により審査にかかる時間が短く、赤字決済や税金滞納を経験したことのある方でも利用できるなど、融資などの他の資金調達方法と比べて利用ハードルが低いというメリットもあります。
ファクタリングの卒業をおすすめする方もいますが、結論急いでファクタリングを卒業する必要はありません。むしろ、これまでファクタリングによる資金調達で経営が安定していたのに、急いでファクタリングから卒業しようとすると、却って資金繰りが悪化してしまう可能性も考えられます。ファクタリングの利用目的は、資金繰りや貸し倒れの防止などさまざまですが、資金調達手段の多様化を目指している方も多くいます。そのような方が、ファクタリングを卒業するのであれば、今後資金繰りの悪化に陥ってしまう可能性が高いといえるでしょう。銀行融資やカードローンとファクタリングを併用して資金調達を行うことで、資金繰りを安定させることができる可能性が高くなるため、ファクタリングの卒業を急ぐ必要はありません。
ファクタリングは、保有している売掛債権を本来の支払期日よりも早期に現金化することができるため、資金繰りの悪化などの急を要する資金調達にも対応可能です。しかし、ファクタリングで資金繰りを改善できたとしても、次の決済日までに運転資金を確保できなければ、再びファクタリングを利用しなければいけない状況になりかねません。この状況が続いた場合、毎回手数料分だけ入金額が少なくなってしまうため、資金繰りの悪化につながってしまいます。このようにならないためにも、ファクタリングへの依存には十分注意しましょう。
現在利用しているファクタリング会社の条件が悪い、ファクタリングに依存している場合は、ファクタリングの利用を検討する必要があるでしょう。本章では、ファクタリングの効果的な卒業方法について解説していきます。
現在利用しているファクタリング会社の条件が悪い場合は、ファクタリング自体から卒業するのではなく、条件が悪いファクタリング会社から卒業するようにしましょう。ファクタリングは、未だ法整備が整っていないため、高額な手数料を請求したり、ファクタリングという名目で貸付を行う悪徳業者が存在します。悪徳業者を利用してしまうと、資金繰りが悪化してしまう可能性が高く、最悪の場合倒産となってしまうことも考えられます。このように、ファクタリング会社選びに失敗し、条件の悪いファクタリング会社を利用してしまった場合は、すぐに自社に最適なファクタリング会社に乗り換えるようにしましょう。とはいえ、ファクタリング会社の数は年々増加傾向にあるため、乗り換え先を探すのも一苦労です。悪徳業者を利用しないためにも、ファクタリング会社の公式サイトだけでなく、口コミや評判まで確認するようにしましょう。
ファクタリングを他の資金調達方法と併用することで、ファクタリングへの依存から卒業することができます。ファクタリングと他の資金調達方法を併用する場合は、銀行融資がおすすめです。銀行融資は、資金調達方法の中でも調達コストが安く、企業の信用力・経営状況によっては、億単位の資金調達を行うことができます。一方ファクタリングでは、売掛債権の額面しか資金調達することができません。しかし、ファクタリングと銀行融資を併用することで、多額の資金調達は銀行融資、少額の資金調達はファクタリングなど、それぞれの特性を生かして資金調達を行うことが可能になります。
上述したように、ファクタリング会社は年々増加傾向にあるため、乗り換え先を探すのは一苦労です。しかし、条件が悪いファクタリング会社を卒業できたにも関わらず、再度条件の悪いファクタリング会社を利用してしまっては意味がありません。そこで本章では、ファクタリング会社を乗り換える際のポイントについて解説していきます。
ファクタリングの手数料相場は、2社間ファクタリングで10~20%、3社間ファクタリングで1~9%となっていますが、実際にかかる手数料は各ファクタリング会社の審査を受けなければ分かりません。手数料の低いファクタリング会社を選ぶためには、複数の会社から相見積もりを取ることが効果的ですが、かなり時間がかかってしまいます。そのため、素早く手数料の安いファクタリング会社に乗り換えたい場合は、手数料に関する情報を公開しているファクタリング会社を選ぶようにしましょう。しかし手数料に強みを持っているファクタリング会社であっても、下限手数料だけなど曖昧な表現をしている会社がほとんどです。そのため、ファクタリング会社を乗り換える際は、下限手数料に加え上限手数料まで公開している会社を選ぶことが重要なポイントとなります。
業歴や買取り実績など、実績が豊富であるかという点もファクタリング会社を乗り換えるうえで重要なポイントとなります。ファクタリングは比較的新しい金融サービスですが、金融庁も推奨するなど近年急激に注目を集めており、ファクタリング会社の数は年々増加傾向にあります。しかし、実績が乏しいファクタリング会社は、実績やノウハウがないため、乗り換え先として選ぶことはおすすめできません。一方で、実績が豊富なファクタリング会社は、競争率の激しいファクタリング業界の中で、多くの方に利用されているため、満足のいく形でファクタリングを利用することができる可能性が高いといえるでしょう。また、多くの方に利用されているということは、満足度も高いはずであるため、手数料や資金調達スピードなど、様々な面において期待することができます。
オンランファクタリングとは、完全非対面、オンラインのみで全ての取引を完結することができるファクタリグ方式です。新型コロナウイルス蔓延の影響から、オンラインファクタリングを導入するファクタリング会社が増えましたが、オンライン化には多額のコストが必要となるため、いまだ一部のファクタリング会社しか導入していません。そのため、オンラインファクタリングを提供しているファクタリング会社は、実績が豊富で売上の多いファクタリング会社である可能性が高いため、いえるでしょう。また、オンラインファクタリングは、ファクタリング利用に関する手間を省けることはもちろん、ファクタリング会社側としても人件費を削減できることから、手数料が低く設定される傾向にあります。2社間ファクタリングであっても10%以下の手数料で利用できるケースが多いため、オンラインファクタリングが利用可能かという点は、乗り換え先を探すうえで重要なポイントとなります。
ファクタリングからの卒業を目指している方もいるかと思いますが、ファクタリングを継続的に利用するメリットもあります。本章では、ファクタリングを継続的に利用するメリットについて解説していきます。
ファクタリングの卒業を目指している方の多くは、手数料による資金繰りの悪化を懸念されているかと思います。確かにファクタリングへ依存してしまうと、取引のたびに本来の入金額から手数料を差し引かれるため、資金繰りの悪化につながる原因にもなりかねません。しかし、ファクタリングと銀行融資など、他の資金調達方法と併用して継続的に利用することで資金調達方法を多様化することができるため、資金繰りが安定します。また、ファクタリングでは、最短即日で資金調達することが可能であるため、様々なピンチにも対応することが可能です。
ファクタリングを継続的に利用することで、オフバランス化にも期待することができます。オフバランス化とは、貸借対照表から資産を減らすことを意味しており、経営の安定性を高めることにつながります。ファクタリングで調達した資金を銀行融資などの返済に充てることでオフバランス化を図ることができますが、ただ単にファクタリングによって資金調達を行ったとしても、資産・負債ともに増加しません。一見、何の効果もないように思われますが、ファクタリングでは貸借対照表を肥大化させずに資金調達することが可能なのです。一方銀行融資の場合は、融資額分だけ資産・負債ともに増加することになるため、貸借対照表が肥大化してしまう原因となってしまいます。ファクタリングの利用により、オフバランス化を図ることで経営の安定性を高めることができるため、銀行融資などの審査にも通過しやすくなるメリットがあります。
ファクタリングを卒業せずに1社を継続的に利用することで、手数料が徐々に低くなるというメリットがあります。そのため、条件の悪いファクタリング会社を利用している方は、少しでも早くファクタリング会社を乗り換えることをおすすめします。ファクタリングを利用する際の手数料は、ファクタリング会社側のリスクに応じて変動します。ただし、利用回数が増えるごとに利用者の信用力が高くなるため、手数料が低くなる可能性が高くなります。なぜなら、二重譲渡や売掛金の持ち逃げ・使い込みなどのリスクの低い利用者は、ファクタリング会社にとって優良顧客となるからです。このように、ファクタリング会社1社を継続的に利用することで手数料が低くなる可能性が高いため、早めに乗り換えの決断をすることをおすすめします。
本記事では、ファクタリングの効果的な卒業方法と継続的に利用するメリットについて解説させていただきました。ファクタリングでは、保有している売掛債権を本来の支払期日よりも早期に現金化することが可能ですが、利用の際には必ず手数料が発生するため、依存してしまうと資金繰りの悪化につながってしまうことも事実です。しかし、審査の柔軟さや資金調達スピードの早さなど効果的に資金調達を行うことが可能であるため、卒業するよりも継続的に利用することをおすすめします。もちろん、条件の良いファクタリング会社を利用することが前提となりますが、ファクタリングは企業に欠かせない資金調達方法だといえるでしょう。