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ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで本来の支払期日よりも早期に現金化することができるサービスですが、実際にファクタリング会社から振り込まれる金額は、債権買取額から手数料を引かれた額となります。そのため、ファクタリング会社から振り込みを受けた際に、「なんでこんなに手数料がかかるの?」と驚く方もいるかと思います。そうならないためにも、ファクタリング利用時に発生する手数料について理解しておきましょう。本章では、ファクタリング利用時に発生する手数料をご紹介します。
掛け目とは、売掛債権に対しての買取率のことです。ファクタリング会社は、売掛金の未回収を恐れており、担保として売掛債権の金額に対して一定割合を差し引いた金額を利用者に振り込みます。その際に用いられる割合のことを「掛け目」と呼んでおり、掛け目の相場は75~90%ほどとなっています。掛け目により減額された金額は、ファクタリング会社が売掛債権を回収するまでの期間は留保されますが、回収できた時点で利用者に返還されます。掛け目は、売掛債権の回収リスクによって変動し、リスクが低ければ低いほど買取率は上がります。しかし、掛け目による減額を行っていないファクタリング会社もあり、そこでは売掛債権の額面を100%現金化することができます。
買取手数料とは、ファクタリング利用時に掛かる手数料のことで、ファクタリングはこの手数料により利益を得ています。買取手数料は、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで異なります。売掛先にファクタリングの利用を知られることなく、最短即日で現金化することができる2社間ファクタリングでは、3社間ファクタリングよりも未回収リスクが高いため、買取手数料は高く設定されます。一方、売掛先も取引に参加する3社間ファクタリングでは、2社間ファクタリングよりも未回収リスクが低いため、買取手数料は低く設定されます。それぞれの買取手数料の相場は、2社間ファクタリングの場合売掛金額の10~20%、3社間ファクタリングの場合売掛金額の1~9%となっています。買取手数料を抑えたい場合は、3社間ファクタリングの利用をおすすめします。
債権譲渡登記とは、ファクタリング会社が利用者から買い取る債権について、第三者に対してその権利を主張するために必要なもので、債権譲渡を行ったことを法務局に申請し登記を行うことです。この登記を自身で行う場合、費用は掛かりませんが、司法書士へ委任する場合は1取引3~5万円の費用が掛かります。3社間ファクタリングでは、売掛先(第三者)に債権譲渡の承認を得るため、債権譲渡登記は不要となっていますが、売掛先の承認が不要な2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社がリスク軽減の目的で債権譲渡登記を行うことが一般的となっています。しかし、債権譲渡登記は誰でも閲覧することができるため、売掛先に知られてしまう可能性があります。そのため、ファクタリング会社によっては、利用者の「売掛先に知られたくない」という要望に応えて、債権譲渡登記を行わない場合もあります。
ファクタリング利用時には、債権譲渡契約の際に200円、債権譲渡登記の際に7500円の印紙代が必要となります。債権譲渡契約に掛かる印紙代に関しては、債権譲渡金額に影響されずに一律200円となっており、この契約書が課税文書として取り扱われるため必要となります。債権譲渡登記にかかる印紙代に関しては、印紙税法に基づいた登録免許税として必要となります。
事務手数料は、ファクタリング利用時の審査や資料作成など事務的な作業に掛かる費用で、相場は0~1万円となっています。事務手数料を免除としているファクタリング会社もあるため、費用が掛からない場合もあります。
上記の解説でファクタリング利用時に発生する手数料について理解できたかと思いますが、実際にファクタリング会社から振り込まれる金額はどのような計算方法で求めればよいのでしょうか。本章ではファクタリング手数料の計算方法について解説していきます。
買取対象額 : 売掛債権の額面×掛け目
買取額: 買取対象額―買取手数料
留保金額 : 売掛債権の額面―買取対象額
現金化することができる金額 : 買取額+留保金額
ファクタリング手数料の計算例を2つご紹介いたします。
2社間ファクタリングで500万円の売掛債権を売却する場合の計算例をご紹介します。この際にかかる手数料として、それぞれの相場の一番高い値を用いて計算していきます。
2社間ファクタリング利用時に発生する手数料
掛け目 :75%
買取手数料: 20%
債権譲渡登記費用: 5万円
印紙代 :7700円(2つ合わせて)
事務手数料: 1万円
このような条件の場合、計算式は以下のようになります。
買取対象額: 500万円×75%=375万円
買取額 : 375万円―(375万円×20%)=300万円
現金化することができる金額 :300万円―5万円―7700円―1万円=293万2300円
このような計算式となり、実際に受け取ることできる金額は293万2300円となります。詳しく解説すると、買い取り対象額は500万円の掛け目75%なので【375万円】。そこから20%の買取手数料を差し引き【300万円】。債権譲渡登記費用・印紙代・事務手数料を差し引き【293万2300円】となります。これは各手数料の最大値で計算したものなので、実際に受け取れる最低金額というイメージで見てください。
3社間ファクタリングで500万円の売掛債権を売却する場合の計算例をご紹介します。これも同じく、利用時に発生する手数料の各相場の最大値を用いて計算します。なお、3社間ファクタリングなので、債権譲渡登記費用は不要となります。
3社間ファクタリング利用時に発生する手数料
掛け目: 75%
買取手数料:9%
印紙代: 7700円
事務手数料: 1万円
このような条件の場合、計算式は以下のようになります。
買取対象額: 500万円×75%=375万円
買取額: 375万円―(375万円×9%)=341万2500円
現金化することができる金額: 341万2500円―7700円―1万円=339万4800円
このような計算式となり、実際に受け取ることができる金額は339万4800円となります。詳しく解説すると、500万円に対して掛け目が75%なので【375万円】。そこから9%買取手数料を差し引き【341万2500円】。さらに印紙代・事務手数料を差し引き【339万4800円】となります。
上記で実際の例を用いた計算式をご紹介しましたが、どのような印象を持たれたでしょうか?おそらく「ファクタリングってこんなに手数料かかるの!」と感じられた方が多いと思います。では、ファクタリング利用時の手数料を抑えるためにはどうしたらいいのでしょうか?本章ではファクタリング利用時の手数料を抑える方法について解説していきます。
ファクタリング会社の審査対象は売掛先となっているため、手数料を抑えるためには信用力の高い売掛先を選ぶ必要があります。上場企業や公共機関などの信用力の高い売掛先の売掛債権を売却する場合、ファクタリング会社としては売掛金の未回収リスクが低くなるため、買取手数料を抑えることができます。買取手数料と同時に買取率も上がるため、実際に受け取ることができる金額も多くなります。
上記で紹介した計算例からも分かる通り、2社間ファクタリングよりも3社間ファクタリングの方が手数料を抑えることができます。なぜなら3社間ファクタリングは取引に売掛先も参加するため、ファクタリング会社としては未回収リスクが低くなるからです。しかし、3社間ファクタリングを利用する際は、売掛先に承認を得る必要があるため、売掛先がファクタリングの利用を承認しなければ利用することができません。また、売掛先に「経営状況が悪いのではないか」という疑念を抱かれる可能性もあるため、3社間ファクタリングの利用に関しては、慎重に検討する必要があります。
1度利用してみて、今後も継続的に利用したいと思えるファクタリング会社と出会えたら徹底してそのファクタリング会社を利用していきましょう。同じファクタリング会社を継続的に利用することで、取引実績を作ることができ、ファクタリング会社からの信用度が上がるため、手数料を抑えることができます。早く優良なファクタリング会社と出会うためにも、複数のファクタリング会社の見積もりを取り、自社に合ったサービスを提供しているファクタリング会社を選びましょう。
今回はファクタリング手数料の計算方法と手数料を抑える方法について解説してきました。ファクタリングの買取手数料や買取率は、ファクタリングの種類や売掛先の信用力によって変動します。そのため、手数料を抑える方法を実践することで手数料を抑えることが可能となります。また、債権譲渡登記費用などの諸費用についても、ファクタリング会社によって異なるため、ファクタリングを利用する際は必ず見積もりを取り、発生する手数料について理解したうえで利用するようにしましょう。