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バランスシートとは一般的に貸借対照表と呼ばれるもので、企業の財務状態を判断するうえで欠かせないものの1つです。バランスシートは、借方と貸方という項目によって成り立っていますが、このうち借方は、企業が所有している「資産」の運用状況を示しています。一方貸方には企業の「負債」や「純資産」が記帳され、双方の合計が同じになるような仕組みとなっており、このように双方の合計額が「釣り合っている」「均衡している」ということが「バランスシート」という名前の由来となっているようです。
ファクタリングは借入ではなく”売掛債権の売買サービス”であるため、ファクタリングで調達した資金は負債として計上されず、オフバランス化することができます。調達した資金を、借入の返済などに充てることでバランスシートをスリム化することができ、自己資本比率や総資産利益率(ROA)の改善など、企業価値を高めることにもつながります。
企業活動を行っていると、バランスシートが拡大してしまいます。その理由として、日本の企業間取引で採用されている「掛け取引」が原因であるといえるでしょう。掛け取引では、商品・サービスの提供から代金を受け取るまでに30~60日程度の支払いサイトが存在します。そのため資金力の低い企業は、「売上はあるが手元の資金がない」という状態に陥りやすく、運転資金の確保を目的として銀行融資などの借入に頼ってしまうのです。この悪循環により借入が増えていくと、バランシートは肥大化し、企業価値も下がってしまいます。
「バランスシートから財務体質が判断され、企業価値が決まる」ということは、上記を見てお分かりいただけたかと思いますが、どのように財務体質を判断されるのでしょうか。本章では、バランスシートから財務体質の問題点を見つける5つのポイントについて解説していきます。
自己資本比率とは、バランシートの総資産に対する自己資本の比率のことを指しており「自己資本÷総資産×100」で求めることが可能です。自己資本比率は高ければ高いほど評価が上がりますが、理想=50%以上、最低30%以上という判断基準で考えてみるとよいでしょう。自己資本比率が高い場合は、借入などの他人資本が少なく、自己資本が多いということが分かるため、財務体質は良好だと判断できます。しかし、自己資本比率が低い場合は、借入などの他人資本が多く、自己資本が少ないことが分かるため、財務体質の問題点として捉え、改善する必要があります。
有利子負債比率とは、バランスシートの総資産に対する借入金の比率を指しており、「借入金÷総資産×100」で計算します。他人資本としての比率ではなく、他人資本の中の利息を有する借入金の比率を指していることが特徴的です。有利子負債比率は、低ければ低いほど良く、100%以下が適正水準だといえます。しかし、自己資本の少ない傾向にある中小企業の場合は、80%以下に抑えることが理想的だといえるでしょう。一方、有利子負債比率が高いほど、利息により負担が大きくなってしまうため、財務体質が悪化しやすくなります。
運転資金とは、普段の企業活動を行ううえで欠かせない資金で「売掛債権+棚卸資産-仕入債務」によって求めることができます。運転資金は、業種・業界や事業規模によって異なるため、これといった適正水準はありません。しかしながら、同業同規模の他社と比較して、運転資金が大きすぎる場合は問題点として捉えた方がよいでしょう。運転資金が大きくなる原因としては、売上債権と棚卸資産の肥大化が挙げられます。売掛債権が大きくなる理由は、回収サイトが長期化している、もしくは回収不能となっている売掛債権が多いことです。こちらは、ファクタリングの利用により売掛債権を早期に現金化することで改善することができます。棚卸資産が大きい理由としては、過剰な仕入れを行っており、多くの不良在庫を抱えていることが挙げられるでしょう。このように流動資産が停滞化してしまうことによって運転資金が大きくなってしまっているので、この状態を改善せずに放置してしまうと今後ますます財務状態が悪化してしまうものだと考えられます。
流動比率とは、支払い能力を判断する際に用いられる指標のことで、「流動資産÷流動負債×100」という計算式で求められます。流動資産とは1年以内に現金化が見込まれる資産、流動負債とは1年以内に支払わなければいけない負債のことです。流動比率は高すぎても低すぎても良くなく、100~200を目安として設定することが一般的です。流動負債が流動資産を上回っている場合、流動比率は100以下になり、財務状態は悪化します。一方流動資産が流動負債を上回っている場合、流動比率は100以上となり、財務状態が良好になります。しかし、売掛債権の回収サイトの長期化や不良在庫を抱えている棚卸資産などが要因となって、流動比率が200を超えた場合は問題点として捉えた方がよいでしょう。これはバランスシート上での大きな問題であり、改善しなければ財務状態を悪化させることにつながります。
総資産回転率とは、資産がどれだけ効率的に売上を生み出したかを表す指標で、「売上÷総資産」で計算することができます。目安は各業種によって異なるため、一概には言えませんが1.0以上あると望ましいといえるでしょう。総資産回転率が大きい場合は、資産を効率的に売上につなげられているということなので、企業としては理想的な状態だといえます。しかし、総資産回転率が1.0を下回っている場合は、総資産の運用効率が良くない状態であるといえます。バランスシートの総資産のうち、売上につながっていない停滞資産の割合を把握するためにも、総資産回転率は重要な指標となります。
上記の解説を見て、自社の問題点がいくつか見つかったという方もいるのではないでしょうか。しかし、財務体質の改善はコンサルタントや専門家とともに時間・お金をかけて取り組むことが一般的で、自社だけで改善しようとしてもあまり効果が期待できません。しかし、ファクタリングの利用によってオフバランス化することで、自社完結で財務体質の改善を行うことができます。本章では、ファクタリングのオフバランス化による4つのメリットについて解説していきます。
ファクタリングで調達した資金を借入金などの返済に充てることは、バランスシートのスリム化につながるため、運転資金を健全化することができます。上述したように、運転資金が大きくなる原因としては、回収サイトが長期化している、もしくは回収不能となっている売掛債権を保有していることが挙げられます。既に回収不能となっている不良債権はファクタリングで利用することができませんが、回収サイトが長期化している売掛債権はファクタリングで利用できる可能性があります。また、ファクタリングで調達した資金を借入などの返済に充てることは「他人資本の圧縮」にもなるため、財務体質を大きく改善することにつながります。
ファクタリングによるオフバランス化は、総資産利益率の改善にもつながります。総資産利益率は、どれだけ効率的に企業活動を行っているかを判断する指標の1つで、総資産が少なければ少ないほど高くなります。ファクタリングによってオフバランス化すると、バランスシートをスリム化できるため、総資産利益率の改善につながるのです。
ファクタリングによるオフバランス化によって、自己資本比率の充実を図ることができます。ファクタリングによって調達した資金を、他人資本の返済などにあてることができるため、自己資本比率が向上します。自己資本比率が高いと安定した経営を行っていると判断されるため、金融機関からの融資や新規取引先の開拓などが行いやすくなります。
借入などの他人資本に頼り企業活動を行った場合、バランスシートの肥大化につながってしまうため、財務状態は悪化しやすい傾向にあります。しかし、ファクタリングを利用することで、他人資本に頼らずに企業活動を行うことが可能になります。これは、売上に貢献していない停滞資産である回収サイトが長期化している売掛債権を現金化することができるからです。他人資本に頼ってしまうことは、自己資本比率や有利子負債比率の悪化にもつながるため、極力避けた方がよいといえるでしょう。
今回は、ファクタリングとバランスシートの関係性やファクタリングのオフバランス化によるメリットについて解説させていただきました。ファクタリングでオフバランス化を進めることで、バランスシートをスリム化することができます。バランスシートをスリム化することによって、運転資金を健全化できることはもちろん、総資産利益率や自己資本比率など、様々な財務状態を改善することが可能です。そのためファクタリングは、資金調達だけでなく、バランスシートの改善を目指している方にもおすすめの資金調達方法だといえます。上述した「バランシートから財務体質の問題点を見つける5つのポイント」で問題点が見つかった方は、ぜひファクタリングの利用を検討してみてください。