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p型ファクタリングとは、売掛先が倒産や経営悪化などの理由から売掛金の支払いができなくなった場合に備える保険の役割を持つサービスです。別名ポートフォリオ、保証型ファクタリングともいわれています。資金調達を目的としている一般的な買取ファクタリングと異なり、売掛金の未回収リスクに備えることを目的としています。あらかじめファクタリング会社に対して売掛金の数%を保証料として支払っておくことで、売掛金が未回収となった場合に売掛債権に対する保証を受けることが可能ですが、取引先の信頼性などにより受け取ることができる保証限度額がそれぞれ異なります。主に、売掛先が1社に偏っている場合や売掛金が未回収となったときに自社の倒産の危険性が高い場合などに利用されています。
買取型ファクタリングとは、保有している売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、売掛金本来の支払期日よりも早期に現金化することができるサービスです。支払いサイトを短縮することができるため、資金繰りの改善や急な支払いが発生した際に活用することができます。買取型ファクタリングはほとんどのファクタリング会社が提供しており、信用力の低い中小企業者や個人事業主を中心に利用されています。近年では金融庁も利用を推奨するなど、注目を集めている資金調達方法の1つです。
p型と買取型では、利用目的に違いがあります。p型ファクタリングは売掛債権の未回収リスクに備えることを目的としていますが、買取型ファクタリングは主に資金調達を目的としています。p型ファクタリングを利用する際はあらかじめファクタリング会社に対して保証料を支払う必要があるため、資金力があり万が一の未回収に備えたい場合に、一方買取型ファクタリングは資金繰りの改善など、早急に資金調達する必要がある場合におすすめです。それぞれ利用目的が異なるため、自社の目的に応じて使い分けるようにしましょう。
p型ファクタリングのメリットは以下の5つです。
P型ファクタリングでは、売掛先の倒産・経営悪化などで売掛債権が未回収となった場合に、一定の保証額を受け取ることができるため、貸し倒れリスクを回避することができます。また、売掛先が1つに偏っている場合は、売掛先の倒産がきっかけとなり自社も倒産に陥ってしまう「連鎖倒産」のリスクも抑えることが可能です。保証額は、売掛先の信用力や取引内容によって異なりますが、リスクヘッジとしては十分だといえるでしょう。
P型ファクタリングは、買取ファクタリングと同様に、売掛先に知られずに利用することが可能です。売掛先にp型ファクタリングの利用を知られると「信用されていないのでは?」と疑念を抱かれてしまい、関係性が悪化する可能性があるため、売掛先との関係を崩さずに売掛債権の未回収リスクに対して保証をかけられることは、利用者にとってメリットだといえるでしょう。
p型ファクタリングでは、ファクタリング会社の売掛先を対象とした与信審査によって利用可否や保証限度額が決まる仕組みとなっています。企業間で取引契約を結ぶ場合も与信審査が必要となりますが、p型ファクタリングを利用することでファクタリング会社から売掛先に対する客観的な与信審査を受けることができるため、与信管理を強化することができます。仮に売掛先が支払い不能となったとしても、ファクタリング会社から保証を受けることができるため、実質与信管理をファクタリング会社へ外注化しているようなものです。これによりファクタリング利用者は、貸し倒れリスクを回避できるだけでなく、業務コストの削減にもつながります。
新規の取引先と取引を行う場合に、「商品・サービスの提供後に取引先から入金が行われるか不安だ」という方も多いのではないでしょうか。しかし、p型ファクタリングを利用することで、ファクタリング会社が与信審査を行ってくれるうえ、未回収時には保証を受けることができるため、迷わずに取引先を新規開拓することが可能です。企業間取引にまつわる様々なリスクを気にせずに、取引先の新規開拓を行えることは利用者にとってメリットだといえるでしょう。
p型ファクタリング利用時には、あらかじめファクタリング会社に対して保証料を支払う必要があるため、資金力の低い企業は利用を避けてしまうこともあります。しかし、建設業のような支払いサイトが長く、貸し倒れによる倒産リスクの高い業種の場合は、保証料に助成金を充てることが可能です。助成金を活用することで、少ない保証料で貸し倒れリスクを回避することができるため、利用者にとっては大きなメリットとなります。
p型ファクタリングのデメリットは以下の2つです。
p型ファクタリング利用時には、ファクタリング会社に対して「保証料」を支払う必要がありますが、これは全て掛け捨てとなります。そのため、無事に売掛金を回収できた場合は、支払った保証料が無駄になってしまいます。ただし、p型ファクタリングの利用目的はあくまでも「備え」であるため、保証料が無駄になってしまうことは「仕方ない」と割り切った方がよいかもしれません。しかしながら資金力の低い企業の場合は、資金繰りの悪化にもつながってしまうので、保証料と売掛金の未回収リスクを比べて利用するか判断しましょう。
P型ファクタリングは与信管理などの専門的な知識・スキルが必要であることから、審査が比較的厳しい銀行系や信販系のファクタリング会社が提供しています。そのため、売掛先の信用力次第では、保証限度額が少なくなったり、最悪利用できないケースも考えられます。また、ファクタリング会社は定期的に与信審査を行っており、契約後に売掛先の信用力が低下した場合は、契約を打ち切られる可能性もあるため注意が必要です。
p型ファクタリングは、貸し倒れリスクを回避できるというメリットがあるものの、保証料が無駄になってしまう可能性もあるため、利用を悩まれている方も多いかと思います。そこで本章では、p型ファクタリングの利用をおすすめする3つのケースをご紹介します。
日本の企業間取引は「掛け取引」が主流となっているため、商品・サービスの提供から代金の支払いまでに30~60日程度の支払いサイトが存在します。30~60日程度であれば、売掛先の倒産や経営悪化を事前に察知できる可能性は高いです。しかし、3ヶ月、半年など、支払いサイトが長い場合は、売掛先が倒産や経営悪化に陥ってしまう可能性が高くなるため、貸し倒れリスクも格段に上がってしまいます。そのため、支払いサイトが長い取引では、万が一の備えとしてp型ファクタリングのご利用をおすすめします。
複数の企業と取引を行っているのであれば、たとえ1社から売掛金を回収できなかったとしても、他の売掛先から売掛金を回収することができれば、倒産などの最悪の事態を免れることができます。しかし、1社の売掛先に依存している場合は、その1社から売掛金を回収することができなければ、資金繰りが悪化し、倒産に陥ることとなってしまいます。そのため、1社の売掛先に依存している場合は、倒産などの最悪の事態を免れるためにも、p型ファクタリングのご利用をおすすめします。
下請けの建設企業、資材企業であれば、保証料に対して国から助成金をもらうことができるため、お得にp型ファクタリングを利用することができます。下請けの建設企業や資材企業は、支払いサイトが長く一般的な企業間取引よりも貸し倒れリスクが高いため、p型ファクタリングを利用しておいた方がよいといえるでしょう。
今回は、P型ファクタリングのメリット・デメリット、買取ファクタリングとの違いについて解説させていただきました。p型ファクタリングは「備えること」を目的としており、売掛金が未回収となった場合に保証金を受け取ることができるため、貸し倒れリスクの高い取引では欠かせないサービスだといえるでしょう。しかしながら、保証金が無駄になってしまう可能性や買取ファクタリングと比べて審査が厳しいことなど、懸念すべき点もいくつかあります。このような懸念点を避けたい場合は、「買取ファクタリング」のご利用をおすすめします。主に資金調達目的で利用されている買取ファクタリングですが、原則償還請求権なしの契約であることから、貸し倒れ防止の目的で利用することも可能です。また、最短即日で売掛債権を現金化することができるため、資金繰りの改善などにも活用することができます。取引内容や売掛先の信用力などを総合的に判断し、自社に最適なファクタリングサービスを利用するようにしましょう。