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ファクタリングを利用すると、貸借対照表のスリム化や自己資本比率が向上するなど、ファクタリングを利用した企業の決算書に対して好影響を与えることができます。そのため、ファクタリングは、資金調達や貸し倒れ・未回収リスクからの回避だけではなく、企業価値を高める目的でも利用されています。ファクタリングが決算書に与える好影響は以下のとおりです。
ファクタリングを利用すると、「売掛金」の項目が「現金」に変更されますが、これは資産の名目が変更しただけとなります。そのため、ファクタリングを利用しても負債額が肥大化することはありません。一方銀行から融資を受けた場合、ファクタリングと同様に「現金」が資産項目に記載されますが、現金と同じ金額が「借入金」として計上されることになります。借入金が計上されると、負債項目が増加することになるため、貸借対照表が肥大化してしまいます。貸借対照表が肥大化してしまうと、信用性が下がってしまい、今後の企業間取引において悪影響となります。しかし、ファクタリングを利用することで、貸借対照表の肥大化を防ぎ、調達した資金を借入金の返済など、負債項目の減少に活用することで貸借対照表のスリム化を実現することができ、決算書へ好影響を与えます。
自社が保有する総資本のうち、借入などを除く自己資本の割合を「自己資本比率」といいます。この自己資本率が高ければ、企業活動の財務基盤が評価され、融資や企業との取引で優位に立つことができます。総資本には負債に分類される借入金も含まれており、負債の割合が大きくなればなるほど自己資本比率は低下してしまいます。しかし、ファクタリングで調達した資金は負債にあたらないため、自己資本比率に悪影響を及ぼすことはありません。また、ファクタリングで調達した資金を借入金の返済に充て、総資本のうちの負債の割合を減少させることで、自己資本比率を向上させることができます。
自己資本比率は、企業価値を高めるうえで欠かせないものですが、流動資産と流動負債の割合を示す「現金比率」も高ければ、さらに企業価値を高めることができます。現金比率が高いということは、流動性の高い資金繰りが行えていることの証明にもなります。また、ファクタリングに活用される売掛債権は流動資産に含まれており、流動負債を増やさないことになるため、徐々に現金比率を向上させることができます。
総資産利益率とは、経営が効率的に運営されているかを判断する1つの評価基準であり、この数値はファクタリングを利用することにより改善することができます。純資産利益率は、純利益を資産で割ることにより求めることができますが、ファクタリングの利用により、分母を小さくすることで、総資産利益率を改善することができます。
ファクタリングを利用することで、上記で解説したような決算書に好影響を与える数値を改善することができます。ファクタリングが決算書に好影響を与える大きな理由として、「ファクタリングを利用して資金を調達しても負債が増えない」という点が挙げられます。しかし、このこと以外にも決算書に好影響を与える理由が存在します。ファクタリングが決算書に好影響を与える理由は以下のとおりです。
資産のオフバランス化とは、貸借対照表の資産と負債を減らすことを目的としています。ファクタリングの利用は、オフバランス化を行える資金調達手段であり、会計上の問題となることもありません。ファクタリングを利用したオフバランス化では、まず資産項目にある売掛債権を売却し、現金を増加させます。そして、増加した現金を利用して負債を減らすことで、資産と負債の両方を減らすことができます。ファクタリングによるオフバランス化は、このような仕組みで行われており、決算書を改善することができる理由となります。
キャッシュフローとは現金の流れを意味しています。日本の企業間取引では、商品やサービスの提供から、実際に代金が支払われるまで30~60日の支払いサイトが存在しており、資金繰りが悪化してしまう危険性が高いため、潤沢な資金を保有していない企業であれば、融資などの借入に頼らなければいけない場合があります。しかし、ファクタリングを利用することで、ファクタリング会社に売掛債権を売却し、本来の支払期日よりも早期に現金化することができるため、キャッシュフローを改善することができます。また、ファクタリングで調達した資金は「負債」にあたらないため、決算書に悪影響を与えることはありません。ファクタリングを利用する際に、受け取ることができる金額は、支払期日に振り込まれる予定だった売掛金の額面から手数料が差し引かれた金額となるため、一時的なキャッシュフローであることを理解して利用しなければいけません。このことを理解せずに頻繁にファクタリングを利用してしまうと、手数料により差し引かれる金額が大きくなるため、逆に資金繰りを悪化させてしまう可能性もあります。ファクタリングの特性を理解し、うまく活用することができれば、資金繰りの悪化や資金ショートなどの決算書に悪影響を与える要因を回避することができます。
売掛金が貸し倒れ・未回収となってしまった場合、企業は大きな損失を受けることになるため、決算書への影響も大きいはずです。しかし、ファクタリングを利用することによって、売掛金の貸し倒れ・未回収リスクから回避することができます。なぜなら、ファクタリングの契約には原則償還請求権がなく、ファクタリング会社に債権譲渡後に売掛金が貸し倒れ・未回収となった場合でも、支払いを求められることはないからです。売掛金の貸し倒れ・未回収リスクを回避することで決算書の改善だけでなく、連鎖倒産からも回避することができます。
銀行などから融資を受ける際は、貸借対照表や損益計算書及び決算書などの書類を提出しなければいけない場合があります。そのため、ファクタリングの利用により決算書を改善することで融資が受けやすくなるといえるでしょう。また、融資を断られた経験のある企業でも、ファクタリングを利用し決算書を改善することで、今後審査に通過できる確率が高くなります。ファクタリングの利用により決算書を改善することで融資が受けやすくなる理由は以下のとおりです。
決算書は、融資の審査を受ける際に必要書類として提出を求められることがあります。そのため、ファクタリングの利用により自己資本比率や貸借対照表のオフバランス化など決算書を改善することができれば、審査に通過できる確率が高くなります。決算書が原因で融資の審査に通過できない企業であれば、ファクタリングにより決算書を改善することで、融資が受けやすくなります。
中小企業が行う資金調達手段として「銀行からの融資」が挙げられますが、すべての資金調達を融資に頼ってしまうと、負債額が大きくなりすぎてしまうため、いずれ融資を断られることになります。しかし、ファクタリングで調達した資金は「負債」にあたらないため、いざというときにファクタリングよりも調達できる資金額が大きい「融資」を受けやすくなります。また、現在負債額が大きくなってしまっている企業であっても、ファクタリングによって調達した資金で負債額を減らすことで、決算書を改善することができるため、融資が受けやすくなります。
ファクタリングは、最短即日で売掛債権を現金化することができるサービスでありますが、手数料の高さがデメリットとして挙げられます。そのため、ファクタリングを利用する際は、資金繰りの悪化や資金ショートから回避するなど短期的なものとして利用することをおすすめします。一方で銀行からの融資を受ける際は長期的・高額な資金調達を行う際におすすめです。銀行からの融資はファクタリングよりも低金利であるため、結果的に銀行からの融資のほうがお得に資金を調達できる場合があります。とはいえ、銀行からの融資を受ける際の審査は非常に厳しいため、まずはファクタリングを利用し、自己資本比率や現金比率を向上させ、決算書を改善していきましょう。
今回は、ファクタリングを利用することによって、決算書にどのような好影響を与えるのかというテーマで解説させていただきました。ファクタリングは、決算書に好影響を与える資金調達方法です。また、売掛金の貸し倒れ・未回収リスクからも回避することができるため、リスクヘッジの1つとしても利用することができます。ファクタリングの利用により決算書を改善することができれば、おのずと企業価値を高めることにもつながります。