ファクタリング会社に免許や資格は不要?
ファクタリング会社に免許や資格は必要なのかとその理由について解説させていただきます。
ファクタリング会社に免許や資格は不要
結論から申し上げると、ファクタリング会社を運営するにあたって、免許や資格は必要ありません。
しかし、ファクタリングは比較的新しい業界のため法整備が追いついておらず、今後は免許や資格が必要になる可能性もあります。
金融庁によると【「ファクタリング」とは、一般に企業が取引先に対し有する売掛債権をファクタリング会社が買い取り、買い取った債権の管理・回収を自ら行う金融業務をいいます。
このようなファクタリングの法定性質は、売買契約に基づく指名債権の譲渡であり、金銭の貸し借りではないので、賃金業の登録は必要ありません。】としています。
簡単に言うと、ファクタリングはお金の貸し借りをしないので、賃金業の登録も免許や資格も不要ということです。
そのためファクタリング業は誰でも自由に始めることができます。
ファクタリング会社を運営する側は、面倒な登録や免許・資格を取得する必要がないというメリットがありますが、利用者側はファクタリングに関する法整備が追いついていないので、法律で守られていないというリスクがあります。
ファクタリングを利用する際は、優良な業者と高額な手数料を請求してくる悪徳業者をしっかりと見極めて、安全に利用するようにしましょう。
ファクタリング会社に免許や資格が不要な理由
ファクタリング会社に免許や資格が不要な理由は以下の通りです。
ファクタリングは金銭の貸し借りを伴う貸金業ではないから
ファクタリングの取引対象は売掛債権となっており、現金ではありません。
お金を取引対象としている銀行や消費者金融の場合は「貸金業登録」という免許が必要となるうえに、金融庁からの認可が必要となります。
そのため銀行や消費者金融といった貸金業は、なかなか開業できるものではありません。
しかし、ファクタリングはあくまでも売掛債権の取引であり、金銭の貸し借りを行う貸金業には該当しません。
そのため銀行や消費者金融に対する銀行法や貸金業法の対象にならず、それらの法で定められた免許や資格は必要ないのです。
ファクタリングを対象としている法整備が追いついていないため
ファクタリングは比較的新しい資金調達方法で、ファクタリングを対象とする法整備が追い付いていないため、免許や資格についても今のところ不要となっています。
そのため、ファクタリング会社を経営したいと思えば、誰でも開業できるのが現状です。
しかし、ファクタリングでの取引対象はあくまでも売掛債権で、貸金業に踏み込んだ業務を行うことは法律違反となります。
例えば、ファクタリング利用者はファクタリング業者へ売掛債権を譲渡し、買取額の現金を貰えば取引終了となり、その後はファクタリング業者が売掛金を回収しなければなりません。
しかし、売掛債権を譲渡した後もファクタリング利用者が売掛債権に関する支払いを求められた場合、その業務は貸金業法の範囲となります。
そのような業務を行うためには、貸金業者としての登録が必要となり、このような登録や免許なしでの業務は違法となります。
ファクタリングのほとんどが「古物商」に該当しないため
古物商とは、古物営業法に規定されている古物を業として売買または交換する業者・個人のことです。
そのため、リサイクルショップや質屋は古物商許可を取って営業する必要があります。
しかし、ファクタリングでは売掛債権という実体のないものの買取を行うため、古物商許可免許を取る必要はありません。
ファクタリング会社と賃金業の違い
ファクタリング会社と賃金業の違いをメリット・デメリットから比較していきます。
ファクタリングのメリット・デメリット
ファクタリングのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット①:売掛金を早期に現金化することができる
ファクタリングは、自社が保有している売掛債権を早期に現金化することができます。
また、ファクタリング業者によっては、即日で現金化することができるので、急ぎの資金調達にも対応が可能です。
金融機関からの融資は、多額の資金調達が可能ですが、手元に現金が来るまで1~2か月ほど掛かってしまうため、スピード面に不安があります。今すぐ資金を調達したいという方にとっては大きなメリットといえるでしょう。
メリット②:自社の経営状況に関係なく資金調達できる
ファクタリングでは自社の経営状況に関係なく資金調達を行うことができます。
具体的な審査対象としては「売掛先企業の経営状況」「支払期日前の売掛債権であること」「売掛債権の金額」などとなります。そのため銀行からの融資などよりも審査通過率が高く、多くの中小企業がファクタリングを利用しています。
また、過去に金融事故の経験がある企業でもファクタリングを利用することができます。
メリット③:売掛債権譲渡後は返金リスクがない
ファクタリング業者へ売掛債権を譲渡した後は原則返金リスクがありません。
そのため、譲渡後に売掛先企業が支払いを延滞しても返金する必要が無いのです。
売掛先企業の経営状況や過去の支払い能力から判断し、売掛金の未回収リスクを回避することができます。
もし、売掛金を回収できずに不良債権になってしまった場合は、債権回収会社(サービサー)に買取ってもらうか債権放棄するしか方法はありません。
どちらの方法にしても高額な手数料・税金が掛かってしまうので、未回収リスクがある場合は迷わずにファクタリングを利用しましょう。
デメリット①:売掛先にバレる可能性がある
ファクタリングを利用した際、場合によっては売掛先(債務者)にファクタリングを利用した旨がバレてしまう可能性があります。
売掛先にファクタリングを利用したことがバレてしまうと「経営状況が悪いのではないか」という印象を与えてしまい、今後の取引にも影響を及ぼしてしまいます。
このような状況にならないためには「2社間ファクタリング」を利用することをおすすめします。2社間ファクタリングとは、ファクタリングを利用する企業とファクタリング業者で完結するファクタリング取引のことです。
3社間ファクタリングよりも手数料が高くなりますが、取引先にバレずにファクタリングを利用することができます。
デメリット②:手数料がかかる
ファクタリングでは、本来の売掛金の金額から手数料を引いた金額が買取金額となります。
3社間ファクタリングでは、売掛先企業からファクタリング業者へ直接売掛金が支払われるため、未回収リスクが低く、2社間ファクタリングよりも手数料が低くなります。
しかし、2社間ファクタリングでは、売掛先にバレずに利用できるメリットがありますが、手数料は10~30%となり、融資よりも高額な手数料となってしまいます。
デメリット③:悪徳業者の見極めが難しい
ファクタリングは法整備が追いついておらず、開業に免許や資格が必要ないため誰でも開業することができます。
そのため、高額な手数料を取ったり、売掛債権を担保に高額な利子で金銭を貸し付ける悪徳業者が存在します。
悪徳業者から資金を借り、返済が滞ってしまうと厳しい取り立てにあってしまいます。
悪徳業者からの取り立てにあえば、会社のイメージを大きく落としてしまいます。
そうならないためにも、「固定電話はあるのか」「契約書は発行してくれるのか」など悪徳業者の特徴を押さえ、優良なファクタリング業者を選ぶ必要があります。
貸金業のメリット・デメリット
賃金業のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット①:貸金業法で守られている
貸金業からの融資は、銀行法や貸金業法に守られています。
また、「貸金業登録」という免許が必要なうえに、金融庁からの認可を得る必要があるため、なかなか開業することが難しくなっています。
一方、ファクタリングは法整備が追いついておらず、誰でも開業することができるため、利用者が法で守られていません。
メリット②:ファクタリングよりも低金利で借りることができる
ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングで10~30%、3社間ファクタリングで1~10%掛かるのに対し、貸金業に属している銀行などの金利相場は2~8%ほどとなっており、ファクタリングでの資金調達よりも無駄なお金を支払う必要がありません。
しかし、貸金業に属している「ビジネスローン」や「消費者金融」の金利は10~18%と設定していることが多く、場合によってはファクタリングよりも高額な金利を支払わなければならない可能性があります。
融資を受けた際の返済負担とファクタリングを利用した際の手数料を比較し、自社に合った資金調達を行いましょう。
デメリット①:経営状況が審査に影響する
貸金業に属している金融機関から融資を受ける際は、自社の経営状況が審査対象となります。
そのため、過去に金融事故を起こしていて信用力が低かったり、起業して間もない場合は希望金額の融資が受けられないことや融資自体を受けられない可能性があります。
その点ファクタリングでは、審査対象が売掛先企業となるので、自社の経営状況が悪くても売掛先企業の経営状況が良好であれば資金調達を行うことができます。
デメリット②:返済に遅れると信用力が下がる
貸金業に属している金融機関から融資を受け、問題なく返済を行っていれば信用力は上がりますが、返済を滞納してしまうと信用情報に傷がつき、自社の信用力が下がってしまいます。
信用力が下がってしまうと、金融機関からの融資限度額が下がることや融資自体を受けられなくなる可能性があり、今後の資金調達に影響します。
その点ファクタリングは売掛債権をファクタリング業者へ譲渡した後は、返済義務がなくスムーズな資金調達を行うことができます。
また、ファクタリングでの資金調達は負債にならないため、今後の融資に影響しません。
優良なファクタリング業者の選び方
優良なファクタリング業者の選び方は以下の通りです。
担当者の対応品質
ファクタリングを利用する際は、インターネットだけで完結するのではなく、1度担当者と電話・対面で会話し、対応品質を確かめましょう。
インターネットは各会社の手数料や利用条件など、情報収集を行うのには便利ですが、基本的にネットには良いイメージを与える情報しか記載されていません。
ファクタリングは同じ会社を長く利用することで、手数料を優遇してくれることもあるので、長く付き合える担当者のいるファクタリング業者を選ぶようにしましょう。
手数料
手数料を確認した際に、上限まで明確に回答してくれない業者には注意が必要です。業者のホームページなどには、手数料を安く記載しておいて、実際には高額な手数料を請求してくる悪徳業者も珍しくはありません。
上記でも述べましたがファクタリングは免許や資格が不要で、誰でも開業することができます。
場合によってはファクタリング業者を装い、高額金利で貸し付けを行う闇金業者の可能性もあります。ファクタリングを利用する際は、手数料や契約内容をしっかりと確認し、必ず契約書を発行してもらいましょう。
資金繰りサポート
ファクタリング業者の中には、ファクタリングを利用した後の資金繰りについてもサポートしてくれる業者があります。
ファクタリング業者が利用者の資金繰りをサポートすれば、今後ファクタリングを利用する必要がなくなる可能性があるので、ファクタリング業者が得をすることはありません。
しかし、自社の利益を気にせず、自社のファクタリングを利用してくれた企業のためになるサポートをしてくれるファクタリング業者は、間違いなく優良な業者だといえます。
ファクタリングの開業に免許が必要?のまとめ
今回はファクタリング会社に免許や資格が不要な理由と優良な業者の選び方について解説させていただきました。
ファクタリングに関しては法整備が追いついておらず、今後も免許や資格が不要で誰も開業することができる状態が続く可能性があります。
そのような状況の中でも優良な業者を選ぶために、上記で述べた「優良な業者の選び方」を参考にしてみてください。