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請求書買取サービスとは、自身が保有する請求書を請求書買取業者に売却することで、請求書本来の支払期日よりも早期に請求書を現金化することができる金融サービスです。銀行融資など、他の資金調達方法と比較すると、審査が柔軟で現金化スピードが早いことから、主に中小企業や個人事業主に利用されています。日本の企業間取引は、主に「掛け取引」で行われており、商品・サービスの提供から実際に支払いが行われるまでに30日ほどの支払いサイトが存在します。そのため、資金力の低い中小企業や個人事業主は資金繰りが難しいという実情があり、「売上はあるが手元に資金がない」という状態に陥るいわゆる黒字倒産となってしまう企業が多くあります。しかし、請求書買取サービスを利用することで支払いサイトを短縮することができるため、資金繰りを改善することが可能です。請求書買取サービスは、銀行融資などと比べると知名度が低く、怪しいと思われている方も多くいますが、現在は金融庁も推奨するほど注目されている資金調達方法となっています。
請求書買取サービスには、2社間と3社間の2種類の契約方法があります。契約方法によって、入金スピードや手数料、取引方法が異なるため、請求書買取サービスを利用する前に必ず理解しておきましょう。
請求書買取サービスを2社間で利用した場合は、利用者と請求書買取業者のみで取引を行うため、請求書買取サービスを利用したことが売掛先に知られることはありません。そのため、売掛先に知られずに請求書買取サービスを利用したい方にはおすすめの契約方法だといえます。また、3者間のように請求書買取サービスの利用に関して売掛先から承認を得る必要がないため、最短即日で資金調達することが可能です。しかし、売掛先が取引に参加しないことから、請求書買取業者としては2重譲渡や利用者による売掛金の持ち逃げ・使い込みリスクが懸念されるため、3社間よりも手数料が高い傾向にあります。
請求書買取サービスを3者間で利用した場合は、利用者、売掛先、請求書買取業者の3者間で取引を行います。3社間では、利用者を介することなく、売掛先から請求書買取業者に直接売掛金が入金されるため、2社間よりも手数料が低い傾向にあります。また、売掛先も取引に参加することから、未回収リスクが軽減されるため、審査基準も緩いです。しかし、請求書買取サービスの利用に関して売掛先から承認を得る必要があるため、場合によっては利用できない可能性があります。また、請求書買取サービスに関して知見のない売掛先の場合は、「経営状況が悪いのでは?」と不安を抱かれてしまうケースもあるため、売掛先との関係が悪化してしまう可能性も考えられます。
請求書買取サービスは、審査が柔軟で現金化スピードも早い資金調達方法であるため、様々なケースで活用できます。請求書を買い取ってもらう際に手数料が発生してしまうため、本来受け取ることができる金額よりも少なくはなってしまいますが、資金繰りが難しい中小企業や個人事業主にとっては必要不可欠な資金調達方法だといえるでしょう。本章では、請求書買取サービスの利用をおすすめするケースをご紹介します。
企業活動を行う中で、資金繰りの悪化や急な出費が発生した場合など、急を要する資金調達が必要なケースがあるかと思います。そのようなケースでは、請求書買取サービスがおすすめです。銀行融資の場合は、利用者の経営状況や信用情報などを詳細に調査するため、入金までに数週間~数カ月かかることがほとんどです。また、審査に必要な書類の準備や保証人・担保の用意など、審査を受けるまでにも時間・手間がかかってしまうため、急を要する資金調達においてはおすすめできません。一方請求書買取サービスは、業界全体の審査通過率が90%を超えるほど審査が柔軟であり、最短即日で資金調達を行うことが可能です。また、オンライン完結型の請求書買取サービスを提供している会社もあるうえ、審査に必要な書類も少ないため、銀行融資と比較すると訪問するための移動時間や書類を準備する手間も少ないといえるでしょう。このように請求書買取サービスは、資金調達までのスピードが早いため、急を要する資金調達が必要なケースで活用することができます。
資金調達方法と聞いて「融資」を一番に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、融資の審査は厳しいため、信用情報や経営状況に問題のある企業は審査に通過できない可能性が非常に高いといえます。また、起業して間もない企業など、経営が安定していない場合は、信用情報や経営状況に問題がなくても、希望金額を調達できない可能性があります。一方請求書買取サービスでは、審査の際に売掛先の信用情報や経営状況、請求書の内容を重視するため、金融事故や赤字決済などを経験した企業であっても利用することが可能です。このように請求書買取サービスでは利用者よりも売掛先の信用情報や経営状況を重視しており、融資と比べて審査が柔軟であるため、融資の審査に通過できなかった場合でも利用することができます。
請求書買取サービスは、資金調達目的だけでなく、貸し倒れリスクを回避するためにも利用することができます。上述したように日本の企業間取引では「掛け取引」が主流となっており、商品・サービスの提供から入金までに支払いサイトが存在します。その入金までの期間に、売掛先が倒産や経営悪化に陥った場合は売掛金が未回収となってしまうため、多額の損失を受けることとなります。しかし、請求書買取サービスを利用することでそれらの貸し倒れリスクを回避することが可能です。というのも、請求書買取サービスは、原則償還請求権なしの契約であるため、請求書買取業者に請求書を売却した後に売掛金が未回収となってしまった場合でも、請求書買取業者からその弁済を求められることはありません。請求書買取サービスを利用する際は手数料が発生するため、実際に入金される金額は本来受け取ることができる金額よりも少なくはなってしまいますが、確実に売掛金を回収したいケースではおすすめです。
請求書買取サービスは、銀行融資などほかの資金調達方法と比べると知名度の低いサービスですが、他の資金調達方法にはないメリットを持っています。本章では、請求書買取サービスのメリットについて解説していきます。
請求書買取サービスは、銀行融資など他の資金調達方法と比べて資金調達スピードが早く、最短即日、遅くても1週間以内には資金調達が可能です。銀行融資の場合は、利用者の信用情報や経営状況などを詳しく調査し、返済能力を確かめる必要があるため、実際に入金されるまでに数カ月かかることもあります。また、資金繰り表や事業計画書、納税証明書など提出を求められる書類も多いため、審査を受けるまでに多大な時間や労力がかかってしまいます。一方請求書買取サービスは、融資とは異なり売掛債権の売買サービスであるため、審査にかかる時間が短いうえに、柔軟です。特に請求書買取サービスの利用に関して、売掛先から承認を得る必要がない2社間契約では、最短即日資金調達を行うこともできます。また、銀行融資と比較すると審査に必要な書類が少なく、オンラインでの対応が可能な会社もあるため、審査を受けるまでの準備時間や労力が少ないことも請求書買取サービスのメリットだといえるでしょう。
請求書買取サービスは、自社の信用情報や経営状況が悪くても利用することができます。なぜなら、請求書買取サービスの審査では、売掛先の信用力と債権の内容が重要視されるからです。銀行融資においては、利用者の信用情報や経営状況を詳細に調査して返済能力を確かめるため、信用情報や経営状況が悪い企業は基本的に審査に通過することは不可能です。また、返済の滞納など金融ブラックとなっている企業の場合は、数年間は融資を受けることができません。そのため、信用情報や経営状況が悪い企業は、資金調達手段が限られています。そこで活用できるのが請求書買取サービスです。請求書買取サービスでは、利用者の情報ではなく、売掛先の信用情報や経営状況を重要視するため、自社の信用情報や経営状況が悪くても利用することができます。極端にいうと、請求書買取サービスは赤字決済や税金滞納を経験したことのある融資を受けることのできない企業であっても利用することが可能ということです。資金繰りの悪化など、急を要する資金調達が必要な際に金融機関から融資を断られ困っている方は、ぜひ一度請求書買取サービスのご利用を検討してみてください。
請求書買取サービスでは、利用者と請求書買取業者のみで取引を完結できる2社間での契約が可能です。2社間の契約では、請求書買取サービスの利用に関して売掛先から承認を得る必要がないため、売掛先に知られずに資金調達することができます。請求書買取サービスは比較的新しい資金調達方法であるため、実態を理解していない人が少なからずおり、請求書買取サービスを利用することで「経営状況が悪いのでは」と不安を抱かれる方もいます。そのため、請求書買取サービスを利用することで、取引に何らかの影響を与えてしまう可能性があるのです。しかし、請求書買取サービスにおける2社間契約では、売掛先に知られずに資金調達することができるため、売掛先との関係が悪化してしまうことを心配する必要がありません。
請求書買取サービスは、上述したようにメリットのある資金調達方法ですが、デメリットも存在します。利用前にはメリットだけでなく、デメリットに関しても必ず理解しておくようにしましょう。本章では、請求書買取サービスのデメリットについて解説していきます。
請求書買取サービスを利用する際は、売掛先の信用力、債権の内容など、請求書買取業者が背負うリスクに応じて、手数料が発生します。手数料の相場は、2社間で10~20%、3社間で1~9%となっており、融資の金利と比較すると高い傾向にあります。本来の入金される予定だった額から手数料が差し引かれると、実際に入金される額が少なくなるため、利用者にとってはデメリットだといえるでしょう。
請求書買取サービスは、請求書の売買サービスであるため、請求書の額面以上の資金調達をすることはできません。例えば、500万円の資金調達を行いたい場合に、額面400万円の請求書しか保有していない場合は、希望金額を調達することができないのです。また、請求書買取サービスでは手数料が発生するため、希望金額よりも多い額面の請求書が必要となります。このように、請求書の額面以上の資金調達をすることができないことは利用者にとってデメリットだといえるでしょう。
今回は請求書買取サービスのメリット・デメリットについて解説させていただきました。請求書買取サービスは、審査が柔軟で、税金滞納や赤字決済を経験したことのある企業でも利用できるほど審査通過率が高いため、中小企業や個人事業主の方におすすめの資金調達方法だといえます。また、現金化スピードも早いため、資金繰りの改善に役立つ優れた資金調達方法だといえるでしょう。銀行融資など、他の資金調達方法と比較すると、認知度や普及率が低い金融サービスですが、現在では借入を行うことが難しい中小企業に対して金融庁が推奨するほど注目されてます。資金調達方法や資金繰りに悩まれている方は、ぜひ請求書買取サービスのご利用を検討されてみてください。