手形割引とファクタリングを比較その6|保有していなければならないものに違いあり
資金調達法として注目されているものにファクタリングがあります。売上債権である売掛金を利用した資金調達法であり、入金ギャップを埋めるものとして話題になっているのです。
もう一つ昔からあるのが手形割引です。受け取り手形を現金化してしまうものとして、昔から多くの企業が活用してきました。
どちらも売上債権を利用した資金調達法ですが、大きく異なるところがあります。
そもそも保有しなければならないものに違いがありますよね。
こちらでは手形割引とファクタリングの違いを明らかにします。
手形割引を利用するために保有していなければならないものとは?
「手形」を持っていなければなりません。
そもそも「手形割引」ですからね。売上債権の一つである手形を利用することで資金調達をするのが手形割引なのです。
ただし「手形」といっても複数ありますよね。
「為替手形」というものを聞いたことがある方もいるのではありませんか?
ほかにも「約束手形」もあります。
手形割引で利用することになるのは「約束手形」です。
「為替手形」に関しては三者間取引をともなう手形となっており、日本で利用されるケースは多くありません。輸出入業者が利用している程度なので、手形割引で利用されるケースは稀なのです。
では約束手形とはどういったものなのでしょうか?
・約束手形とは?
企業間取引をしたときなどに振り出されることになります。
約束手形については銀行が交付する正式な約束手形用紙に記入することが一般的。
約束手形用紙には以下の内容を記載することに。
金額
(手形の)振出日
(手形の)支払期日
受取人
振出地の住所
振出人の署名
銀行届出印
印紙(10万円以上のケース)
以上の内容の記載がなければ無効とされることもあるので注意しましょう。
以上の記載がある約束手形用紙を受け取っていると、手形割引に申し込めるのです。ただ申し込みを行ったとしても100%手形割引が利用できるわけではありません。審査を受けた上で利用できるかが決定されることになります。
ファクタリングを利用するために保有していなければならないものとは?
「売掛金」を保有していなければなりません。
ような商品やサービスを掛け取引で提供している時にファクタリングが利用できるわけ。
現金取引を行っていたり、手形での取引を行っていたりする場合にはファクタリングは利用できません。あくまで掛け取引している分がファクタリングできることになります。
ちなみに企業間取引の多くは掛取引となっています。
現金取引であると、取引のたびに現金の出し入れをしなければなりませんよね。経理の業務が煩雑になってしまうので、掛け取引を行って出入金を一括化してしまうのです。
ただし掛取引とは、要は「ツケ」による取引ですよね。信用がなければ利用できないので注意しましょう。特に創業間もないような企業と掛け取引をしてしまうと、貸し倒れが発生してしまうかも。
「貸し倒れが発生する=損失が出る」となるので、掛取引には慎重になるべきなのです。
中には前もって取引先の信用調査を実施する会社もありますよ。
・売掛金の証明について
実は約束手形のように、何かしらの正式な書類が売掛金にはあるわけではありません。
そこで重要になってくるのが、取引のための契約書や請求書です。それらは売掛金の額を証明してくれるものとなっているので、ファクタリング利用時には提出しなければなりませんよ。
また売掛先との取引履歴などもファクタリング利用時の必要書類となることもあります。それらの書類はなるべく捨てないように保存しておきましょう。取引先ごとに書類を管理しておくとファクタリングがしやすくなりますよ。