手形割引とファクタリングを比較その3|法律の適用に違いあり
手形割引とファクタリングを比較します。
今回は法律面で比較することになるのですが、資金調達に関わる法律といえば何を思い浮かべるでしょうか?「貸金業法」を思い浮かべる方が多いでしょう。
そもそも融資を実施している金融業者は「貸金業登録」をしていますよね。
貸金業者のホームページなどをチェックすると貸金業の登録番号が記載されていませんか?
そもそも融資を行っている業者は貸金業登録が必須となっているのです。もしも貸金業登録無しで融資を実行していると違法業者となります。ヤミ金の可能性が高いので注意してくださいね。
手形割引に適用される法律とは?
「貸金業法」が適用されることになります。
要は融資を行う金融業者に適用される法律が「貸金業法」です。よって手形割引業者は貸金業法を守らなければなりません。
「え!?手形割引って融資だったの?」
以上のように困惑する方もいるかも知れませんね。手形割引は、簡単に言ってしまえば受取手形を担保に入れた融資の事を指しています。手形はあくまで担保なので、手形に問題があった場合には対処しなければなりません。
手形の入金がされないことも考えられますよね。取引先の資金繰りが悪化して不渡りが出るようなケースが該当します。
手形の入金がない場合には自社が代わりに支払わなければなりません。ここで注目してほしいのは「手形割引=手形の売却」ではない、という部分です。売却であれば融資ではありません。しかし売却ではないので融資となるわけ。
ここで注目してほしいのが「貸金業法の適用を受けることでどうなるのか?」という部分です。
まずは貸金業登録のある業者しか手形割引が提供できない、といった決まりがあります。要はどんな業者でも手形割引が取り扱えるわけではないのです。なので銀行であれば登録をしているはずなので問題ありませんが、ノンバンクの場合は正規の貸金業登録を行っている業者しかいません。
ここで気づいてほしいのが業者の安全性です。貸金業登録をするためには、もちろんまっとうな会社でなければなりませんよね。よって安全面はかなり優秀、ということに。
もう一つ注目すべきは金利の設定です。
貸金業法の適用があるということは利息制限法を守らなければなりません。利息制限法は金利の条件を定めたものですよね。よって手形割引は利息制限法に定められている上限金利を超えることはありません。
元本が10万円未満の借金(手形割引含む)・・・年20.0%まで
元本が10万円以上100万円未満の借金(手形割引含む)・・・年18.0%まで
元本が100万円以上の借金(手形割引含む)・・・年15.0%まで
以上が利息制限法で定められている上限金利です。
よって150万円の資金調達を受取手形で実施する場合の手数料率は15.0%以下となります。
ファクタリングに適用される法律とは?
「貸金業法」は適用されません。
ファクタリングはあくまで売却であり借金ではないからです。
注目してほしいのは貸金業の登録がない業者でもファクタリングが提供できる、という部分です。あくまで買い取り業なので、貸金ではありません。貸金業法に関連しない業務なので、貸金業登録をする必要がなく業者の信頼性は手形割引業者よりも劣ります。
さらに貸金業法の適用がないということで利息制限法も関係ありません。
ファクタリングの手数料率に制限は一切ないのです。よって20.0%を設定している業者も少なくありません。30.0%や40.0%近い手数料率を設定しているところもあります。
ファクタリングを規制する法律がないからと言って、ファクタリング自体に問題があるわけではありません。まっとうな業者も数多くありますし、手数料率が10.0%を切ってくることも珍しいわけではありません。
業者選びを誤らなければファクタリングでも大丈夫ですよ。