貸借対照表の重要性
貸借対照表(バランスシート)とは、企業のある時点における財政状態を表す書類です。
損益計算書・キャッシュフロー計算書とともに「財務三表」と呼ばれており、税務署や取引先、金融機関に対して財政状態を報告するための重要な書類となります。
貸借対照表からは、財産のうち返さなくてよい資本の比率がどれくらいあるのかを示す「自己資本比率」や経営の効率性を示す「純資産利益率(ROA)」などを確認することが可能です。
新規取引や融資において、企業の安全性を確かめる目的で利用されることが多く、見栄えの良い貸借対照表を作成することは、新規取引先の獲得や資金調達にもつながります。
ファクタリングが貸借対照表に与える影響とは
ファクタリングとは、保有している売掛債権を早期に現金化することができる資金調達方法です。
融資のように借入ではなく債権の売買契約であるため、調達した資金は「負債」に該当せず、オフバランス化することができます。
オフバランスとは貸借対照表に残らない取引のことで、貸借対照表のスリム化など企業価値を高めることにもつながります。
本章では、ファクタリングが貸借対照表に与える影響について解説していきます。
1.純資産利益率(ROA)を改善できる
ファクタリングを利用することは、純資産利益率(ROA)の改善につながります。
純資産利益率(ROA)とは、企業が保有する資産でどれだけの利益を上げられたかを示す指標で、資本に対する効率性を確認する際に活用されます。
純資産利益率の数値は「ROA=当期純利益÷総資産×100」で求めることができ、一般的に5%を超えていると優良企業だと判断されます。
ファクタリングで得た資金を活用して負債を減らすことで、総資産を減少させることができるため、純資産利益率(ROA)を改善することができます。
2.自己資本比率を改善できる
ファクタリングを利用することは、自己資本比率の改善にもつながります。
自己資本比率とは、総資本のうち自己資本が占める割合を示す指標で、企業の安定性を確認する際に活用されます。
自己資本比率の数値は「自己資本比率=自己資本÷総資本×100」で求めることができ、一般的に40%を超えていると安定している企業だと判断されます。
自己資本比率が低ければ、赤字や借入などにより経営が逼迫していると思われるため、新規の取引先や金融機関から取引を断られる可能性が高いです。
ファクタリングは売掛金を現金に換えるだけの資金調達方法であるため、総資本への影響はありませんし、調達した資金を負債の返済に充てることで他人資本を減らすことができるため、自己資本比率の向上につながります。
3.現金比率を高めることができる
ファクタリングを利用することで、現金比率を高めることができます。
現金比率とは、流動負債の支払いが突発的に発生した場合の支払い能力を示す指標で、企業の短期的な財務安全性を確認する際に活用されます。
現金比率の数値は「現金比率=(現金+市場性のある有価証券)÷流動負債」で求めることができ、全業界の中央値は82.8%です。
ファクタリングは借入ではなく、流動負債を増やさずに資金調達を行えるため、現金比率を高めることができます。
4.貸借対照表をスリム化できる
ファクタリングを利用することで、貸借対照表をスリム化することができます。
融資の場合は、資金調達するたびに負債が増加することになるので、債務超過や貸借対照表の肥大化を招く可能性があります。
しかしファクタリングは借入ではないため、債務超過や貸借対照表の肥大化を招く心配がありません。
また、ファクタリングで調達した資金で負債を減少させることで、貸借対照表をスリム化することができるでしょう。
5.企業価値を高めることができる
ファクタリングを利用して安定性や効率性、支払い能力などさまざまな指標を改善することは企業価値を高めることにもつながります。
企業価値が高まると、銀行などの金融機関からの評価も高くなり融資を受けやすくなるだけでなく、金利面でも優遇を受けられる可能性もあります。
また、売掛金の未回収リスクが低いと判断されるため、以前よりも新規取引先の獲得が容易になるでしょう。
ファクタリングを利用するメリット
ファクタリングには、貸借対照表に好影響を与えること以外にも多数のメリットがあります。
融資と比べて利用ハードルが低いうえ、資金調達にかかる時間が短いことから、特に中小企業におすすめの資金調達方法だといえます。
本章では、貸借対照表に好影響を与えることができるファクタリングのメリットについて解説していきます。
1.最短即日で資金調達できる
ファクタリングの最大のメリットは「最短即日で資金調達できる」ことです。
融資の場合は、自社の信用情報や経営状況から返済能力を詳細に審査されるため、資金調達までに数週間~数カ月掛かってしまうことも珍しくありません。
一方ファクタリングは、入金金額や支払期日が確定している売掛債権を早めに現金化するだけなので、融資よりも審査スピードが早く、最短即日で資金調達することが可能です。
利用するファクタリング会社や契約形態によって資金調達スピードは異なるものの、申し込みから1週間以内には資金調達できる可能性が高いため、資金繰りの改善や急な支払いなど緊急性の高いケースで活用することができます。
2.自社の信用情報が審査に影響しない
自社の信用情報が審査に影響しない点もファクタリングのメリットだといえます。
融資の審査では、利用者の信用情報や経営状況から返済能力を判断されるため、貸借対照表が肥大化している場合や赤字決算に陥っている場合は、審査通過が難しい状況にあります。
一方ファクタリング審査で重要視されるのは「売掛先の信用力」であるため、自社の信用情報が悪化している場合でも問題なく利用することができます。
融資の審査通過が難しい状況にある開業間もない企業や信用情報が悪化している企業にとってファクタリングは有効な資金調達方法だといえるでしょう。
3.貸し倒れリスクを回避することができる
貸し倒れリスクを回避できることもファクタリングを利用するメリットの1つです。
ファクタリングでは、原則償還請求権なしの契約が採用されているため、ファクタリング利用後に売掛金が未回収になった場合でも、利用者が弁済を求められることはありません。
ファクタリングを利用せずに売掛金が未回収になった場合は、大きな損失を受けることになり、黒字倒産に陥ってしまうことも考えられます。
特に手元資金が不足している企業は、一度の貸し倒れで倒産に陥ってしまう可能性が高いため、ファクタリングを利用して貸し倒れリスクを回避するようにしましょう。
4.利用ハードルが低い
ファクタリングは融資など他の資金調達方法と比べて、利用ハードルが低いというメリットがあります。
利用に際して提出しなければいけない書類が少ないうえ、原則担保・保証人なしで利用することができるため、利用の準備に手間も時間もかかりません。
また、オンライン完結で利用できるファクタリングサービスでは、自宅やオフィスにいながらファクタリングを利用することが可能です。
オンライン完結に対応しているファクタリング会社では、基本的に24時間申し込みを受け付けているため、好きなタイミングでファクタリングを利用することができます。
5.売掛先に知られずに資金調達できる
ファクタリングでは、売掛先に知られずに資金調達することが可能です。
ファクタリングは、経済産業省も利用を推奨するなど国が認めている資金調達方法ですが、認知度の低さや悪徳業者の存在からあまり良いイメージを持たれていない方も多くいます。
そのため、ファクタリングを利用することが売掛先に知られてしまうと、関係性が悪化してしまう可能性があるのです。
しかし、利用者とファクタリング会社のみで取引を行う2社間ファクタリングでは、ファクタリングの利用に関して売掛先に承認を得る必要がないため、売掛先に知られずに資金調達することができます。
ファクタリングが貸借対照表に好影響を与える?のまとめ
今回は、ファクタリングが貸借対照表に与える影響とファクタリングを利用するメリットについて解説させて頂きました。
ファクタリングは貸借対照表にさまざまな好影響を与えます。
自己資本比率や純資産利益率(ROA)などの指標を改善できるうえ、オフバランス化により貸借対照表をスリム化することができるため、企業価値を高めることができます。
企業価値が高まることで、新規取引先の獲得や資金調達もスムーズに行えるようになるので、ファクタリングを利用するメリットは大きいといえるでしょう。
貸借対照表を改善されたい方は、ぜひファクタリングのご利用をご検討ください。