まず、ファクタリングサービスを分類すると大きく分けて2つに分類できます。一つ目が「買取型」と呼ばれるもの、もう一つが「保証型」というものに分けることができます。 最初に説明した買取型ですが、その中でも3社間ファクタリングと2社間ファクタリングに分けることができます。 3社間ファクタリングは利用者(売却者)と売掛先とファクタリング会社との3社での契約になるため、契約時と利用者への譲渡時にはタイムラグが発生するケースが多く見受けられます。その一方で2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社間のみでの契約になるため契約時と譲渡時のタイミングが同時(同日)のケースも多いのが実際のところです。 また、保証型とは売掛先が倒産した際や未入金が発生した際に売掛債権を買い取ってもらうサービスになるため会計処理も買取型とは変わってきます。 それではまず買取型の会計処理から説明していきます。
上記でも分類しましたが、買取型では3社間ファクタリングと2社間ファクタリングがあります。この2つの違いは契約において関わる会社数が変わります。 3社間の場合、売掛金をファクタリング会社に販売した後の集金の流れが以下のようになります。
売掛先→ファクタリング会社→(差額)利用者
その一方、2社間の場合は
売掛先→利用者→ファクタリング会社 になります。
このお金の流れと契約時とファクタリング会社からの販売金入金時のタイムラグが歩かないかによって会計処理が変わってきます。
3社間ファクタリングの場合、契約締結時とファクタリング会社からの入金時が同日でないケースがほとんどです。
100万円の売掛金を販売する場合を例としましょう。 まず、売掛金が発生した際から説明していきます。
借方勘定科目は「売掛金」100万円
貸方勘定科目は「売上」100万円
契約時の会計処理は以下のように処理します。
借方勘定科目は「未入金」100万円
貸方勘定科目は「売掛金」100万円
ファクタリングからの入金時は
借方勘定科目は「普通預金」95万円、「売掛金売却損」5万円
貸方勘定科目は「未収入金」100万円 以上のようになります。
次に2社間ファクタリングの場合の会計処理を説明していきます。 2社間ファクタリングの場合、契約締結と買取金入金時が同日のケースも多くあり、その場合とそうでない場合の説明をしていきます。まずは、同日であった場合は以下のようになります。
売掛金が発生した時、
借方勘定科目は「売掛金」100万円
貸方勘定科目は「売上」100万円
ファクタリング契約締結時=ファクタリング会社からの買取金入金時
借方勘定科目は「普通預金」90万円「売掛金売却損」10万円
貸方勘定科目は「売掛金」100万円
集金代行し、ファクタリング会社への入金時 借方勘定科目は「預り金」100万円
貸方勘定科目は「普通預金」100万円 のようになります。
次に2社間契約において契約時とファクタリング会社からの入金時が別日だった場合の説明をしていきます。
売掛金が発生した時、
借方勘定科目は「売掛金」100万円
貸方勘定科目は「売上」100万円
ファクタリング契約締結時
借方勘定科目は「未収入金」100万円
貸方勘定科目は「売掛金」100万円
ファクタリング会社から入金時
借方勘定科目は「普通預金」90万円、「売掛金売却損」10万円
貸方勘定科目は「売掛金」100万円
売掛先から利用者への入金時
借方勘定科目は「普通預金」100万円
貸方勘定科目は「預り金」100万円
集金代行し、ファクタリング会社への入金時
借方勘定科目は「預り金」100万円
貸方勘定科目は「普通預金」100万円
のようになります。
2社間ファクタリングの際に一点気をつけておきたい部分があります。それは債権譲渡登記がない場合は会計処理が変わってきます。債権譲渡登記とは2社間ファクタリングを行ったという履歴が登記上に載るということを意味します。それは法務局で一般的に閲覧できるという事であり、利用者にとってデメリットに働く可能性を意味します。ですので、債権譲渡登記がない場合は会計処理は以下のようになります。 ファクタリング契約締結時 仕訳が特に必要ありません。
ファクタリング会社から入金時
借方勘定科目は「普通預金」100万円、「売掛金売却損」10万円
貸方勘定科目は「短期借入金」100万円
売掛先から利用者への入金時
借方勘定科目は「普通預金」100万円
貸方勘定科目は「預り金」100万円
ファクタリング会社への入金時
借方勘定科目は「短期借入金」100万円
貸方勘定科目は「普通預金」100万円
のようになります。 債権譲渡登記がない場合のファクタリングサービス利用時はファクタリング会社からの入金時、ファクタリング会社への入金時に「短期借入金」として処理します。
保証型のファクタリングサービスは倒産リスクや未払いリスクを考慮し、事前に月額料金などをファクタリング会社に支払が発生しているケースになります。その保証対象になっている売掛先が倒産し貸倒れになったり、未払いが発生した際にファクタリング会社が利用者に対し保証している金額を支払う仕組みになっています。 では、そのように売掛金を回収できなくなり、ファクタリング 会社から保証金額が入金された場合を以下にまとめます。
売掛金が未回収確定した時
借方勘定科目は「貸倒損失」100万円
貸方勘定科目は「売掛金」100万円
ファクタリング会社から入金時
借方勘定科目は「普通預金」100万円
貸方勘定科目は「雑収入」100万円
となります。
最近は個人事業主が利用者であっても対応可能なファクタリング 会社が出てきていますので、会計ソフトなどを活用し自身で会計処理をしている方に対してマメ知識を述べると、先ほど説明した「売掛債権売却損」がソフトに出てこないという場合があります。その際は支払手数料・債権割引料などで仕訳することも問題ありません。また、割引料などで処理している場合もあります。 また、ファクタリングサービスで計上した金額は消費税対象外になります。 通常取引にて発生した売掛金は消費税の対象になります。しかしながら、ファクタリング サービスを利用し計上した譲渡代金と手数料は消費税対象外になります。これは有価証券等の譲渡に該当し、ファクタリングを利用した際に計上した金額は株式取引にて得た利益に対し、消費税がかからないといった解釈と同じ扱いに分類されるからです。 そういう意味での考え方では節税といった方面からファクタリングをみることもできます。 ただ、全ての課税対象にならないのかと言えばそれは間違いになります。ファクタリング 会社からの入金はあくまで「売上」であるため法人税や所得税の対象になりますので注意が必要です。
・会計処理の際に契約時と入金時のタイミングが同日か別日で処理が変わる
・債権譲渡登記なしの場合は短期借入金で処理を行う。
・保証型の場合は入金された際の処理が雑収入で処理する。
・ファクタリングを利用した際の譲渡代金・手数料は消費税対象外。
・売上になるため法人税や所得税の対象ではある。