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請求書前払いサービスとは、支払期日前の請求書を現金化できるサービスです。正式にはファクタリングサービスといわれています。請求書前払いサービスの流れとしては、ファクタリング会社が支払期日前の請求書を買取り、買取金額を利用者に支払います。その後、売掛先から売掛金が支払われたら、そのままファクタリング会社に売掛金を支払い取引完了となります。日本の企業間取引では、主に「掛け取引」が採用されているため、商品・サービスの提供から実際に料金が支払われるまでに支払いサイトがあります。支払いサイトは、一般的に30~60日ほどで、その期間のランニングコストや仕入れ費用は自己資金で賄う必要があります。しかし、請求書前払いサービスを利用することで、支払サイトを短縮することができるため、請求書を早期に現金化することができます。このようなことから、請求書前払いサービスは、資金繰りの悪化や急に資金が必要となった際に、おすすめの資金調達方法です。
請求書前払いサービスは、「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類に分けられます。
2社間ファクタリングは、ファクタリング利用者とファクタリング会社の2社間で取引が完了するサービスです。請求書前払いを行うことに関して、売掛先に承認を得る必要がないため、3社間ファクタリングよりも早期に現金化することがすることができます。また、ファクタリング利用者とファクタリング会社のみで取引を行うことができるため、売掛先に知られずに請求書前払いサービスを利用することができます。しかし、手数料が買取金額に対して10~20%と比較的に高いため、資金繰りの悪化につながる可能性があります。
3社間ファクタリングは、ファクタリング利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間で取引を行うサービスです。売掛先も取引に参加するため、ファクタリング会社としては利用者により売掛金の使い込み・持ち逃げリスクが軽減されます。そのため、2社間ファクタリングよりも低い手数料で請求書前払いサービスを利用することができます。しかし、売掛先に請求書前払いを行うことに関して承認を得る必要があるため、請求書前払いサービスを利用することが、売掛先に知られてしまいます。また、請求書前払いサービスを利用することに関して、売掛先がすぐにOKというか分からないため、申し込みから現金化まで1~2週間ほどかかることが一般的となっています。3社間ファクタリングのほうが低い手数料で利用することができるため、実際に受け取ることができる金額が多くなります。売掛先に請求書前払いの利用に関して知られても問題がない場合は、3社間ファクタリングがおすすめです。
請求書前払いサービスのメリットは以下のとおりです。
請求書前払いサービスの現金化スピードの速さは、他の資金調達方法では実現することができません。例えば、銀行からの融資を受ける場合、審査に必要な書類を作成するまでに、多くの時間がかかるうえに、審査結果が出るまでに1~2か月ほどかかってしまいます。一方請求書前払いサービスの場合、銀行からの融資よりも審査に必要な書類が少ないうえに、最短即日で資金を調達することができます。このように請求書前払いサービスは、現金化スピードが早いため、緊急性の高いタイミングでも利用することができます。
3社間ファクタリングの場合は、請求書前払いサービスの利用に関して、売掛先の承諾を得る必要があります。しかし、2社間ファクタリングの場合は、利用者とファクタリング会社で取引を完結することができるため、売掛先に知られずに資金を調達することができます。
融資の審査を受ける場合は、審査に通ったとしても落ちたとしても信用情報に履歴が残ってしまいます。審査に落ちたことが信用情報の履歴に残ってしまうと、今後審査に通過できる確率が低くなってしまいます。一方、請求書前払いサービスは、金銭貸借契約ではなく、あくまでも売掛債権の売買サービスであるため、審査を申し込んだこと自体が信用情報の履歴に残りません。そのため、請求書前払いサービスの審査に落ちたとしても、信用情報に悪影響を及ぼすことはありません。
融資を受ける際は、担保・保証人が必須となっているため、それらを確保する手間があります。もちろん、担保・保証人が見つからなければ、融資を受けることができないため、ハードルの高い資金調達方法といえるでしょう。一方で、請求書前払いサービスの場合は、担保・保証人が不要であるため、誰でも気軽に利用することができます。融資による資金調達を検討していたが、担保・保証人が見つからず融資を受けられなかった方は、請求書前払いサービスの利用を検討してみましょう。
請求書前払いサービスの審査対象は「売掛先」となっているため、利用者の経営状況・信用情報が審査に与える影響は少ないといえるでしょう。そのため、利用者が税金や保険金を滞納していたり、債務超過をしている場合でも利用することができます。一方で、融資の審査対象は「利用者」となっているため、税金の滞納や債務超過をしている企業は、利用することは難しいといえるでしょう。融資の審査で落ちるような経営状況・信用情報であっても、ほとんどの方は請求書前払いサービスを利用することができます。
請求書を発行していたとしても、売掛先が倒産してしまった場合は、貸し倒れとなり、売掛金を回収することが不可能となります。しかし、請求書前払いサービスを利用することで、本来の支払期日よりも早期に現金化することができるため、貸し倒れリスクを事前に回避することができます。
償還請求権とは、利用者がファクタリング会社に売掛債権を譲渡した後に、売掛先が経営状況の悪化や倒産により売掛金の支払いが不能となった場合に、ファクタリング会社が最初の債権者(利用者)に未払いの売掛金を請求できる権利です。請求書前払いサービスでは、原則償還請求権が発生しないため、ファクタリング会社に債権を譲渡した後は、いかなる理由があってもお金を請求されることはありません。
請求書前払いサービスのデメリットは以下のとおりです。
請求書前払いサービスを利用する際は、請求書の額面から手数料が差し引かれた金額が、実際に受け取ることができる金額となります。手数料は各ファクタリング会社によって異なりますが、一般的に2社間ファクタリングで10~20%、3社間ファクタリングで1~9%ほどとなっています。一見そこまで高くないように感じられる方もいるかと思いますが、請求書前払いサービスの手数料が10%の場合、年利で換算すると年利120%となります。融資での年利は2~5%ほどであるため、請求書前払いサービスの手数料は高いといえるでしょう。また、2社間ファクタリングのほうが手数料が高い理由としては、二重譲渡や持ち逃げといったリスクがあるからです。手数料を抑えたい場合は、3社間ファクタリングを利用しましょう。
請求書前払いサービスは、近年広まっている資金調達方法であり、融資やビジネスローンほどの知名度がありません。そのため、売掛先に請求書前払いサービスの利用に関して承認を得る必要がある3社間ファクタリングを利用した場合、取引先に不信感を抱かれてしまう可能性があります。また、2社間ファクタリングを利用する場合でも、誰でも閲覧可能な債権譲渡登記を行う必要があるため、売掛先に請求書前払いサービスを利用していることを知られてしまう可能性があります。債権譲渡登記をわざわざ確認する企業はほとんどありませんが、少なからず知られてしまう可能性があるため、注意が必要です。どうしても請求書前払いサービスを利用していることを売掛先に知られたくない場合は、債権譲渡登記を「保留」してくれるファクタリング会社を利用するようにしましょう。
請求書前払いサービスを利用するメリットでも述べましたが、請求書前払いサービスの審査対象は「売掛先」となっています。そのため、売掛先の経営状況・信用情報が悪い場合は、審査に通過できない可能性があります。売掛先が原因で請求書前払いサービスを利用できない場合は、比較的審査通過率が高い3社間ファクタリングを利用するようにしましょう。
今回は、請求書前払いサービスの種類やメリット・デメリットについて解説させていただきました。請求書前払いサービスは、法人だけでなく、フリーランスや個人事業主でも利用することができる資金調達方法です。融資よりも準備する書類が少なく、審査通過率も高いため、請求書さえあれば誰でも気軽に利用することができます。また、資金繰りの悪化や急に資金が必要な場合など、緊急性の高いタイミングでも問題なく活用できるため、「早期に資金を調達したい」という場合には、ぜひ利用を検討してみてください。しかし、手数料に関しては、他の資金調達方法よりも高くなっており、請求書前払いサービスを利用したことによって資金繰りが悪化する可能性もあるため、注意が必要です。