飲食業は一般消費者と取引することが多く、売上も即現金になるため、資金繰りが簡単な業種だと言われていました。しかし、キャッシュレス決済の普及により売上の入金が遅くなったことや新型コロナウイルスの影響による時短営業、物価高による材料費の高騰などの経済状況により、資金繰りに問題を抱えている飲食業の方も少なくはありません。本章では、飲食業の方が抱えている資金繰りの問題点について解説していきます。
飲食業は、一般消費者と現金取引を行うことが一般的で、他の業種の悩みの種となっている売上の発生から入金までの支払いサイトがないため、資金不足に陥ることはほとんどありません。しかし、近年ではPayPayやクレジットカードなどのキャッシュレス決済の普及が著しく、資金不足に陥ることも多いようです。というのも、キャッシュレス決済での売上は、カード会社から飲食店に振り込まれる仕組みとなっており、カード会社によっては売上の入金日が数カ月先になることもあります。そのため、損益分岐点を超える売上がある飲食店でも、キャッシュレス決済を導入している場合は、資金不足に陥る可能性があるのです。
飲食業は、運転資金の調達が難しい業種の1つです。製造業や建設業など、売上発生から入金までの期間が長い業種では、入金までの期間の資金不足を解消する目的で運転資金を調達することがあります。しかし、飲食業には基本的に売上発生から入金までの支払いサイトが存在しないため、銀行などの金融機関からは「運転資金は不要」と判断されるケースが多いようです。経営が赤字の場合は、運転資金という名目で融資を受けることができる可能性もありますが、複数回融資を受けることは難しいため、飲食業は運転資金の調達が難しい状況にあります。
飲食業は、天候や社会状況の影響を受けやすい業種の1つです。例えば、自然災害が起きた場合には、作物の生産が減少するため、食材の価格が高騰してしまいます。また、新型コロナウイルスの影響による時短営業など、社会状況により売上が低下してしまうこともあります。このように、飲食業は天候や社会状況の影響により売上が変動するため、突然資金不足に陥ってしまう可能性があります。
ファクタリングは、保有している売掛債権を早期に現金化することができる資金調達方法です。製造業や建設業など、売掛債権を保有することが一般的な業種を中心に利用されていますが、実は飲食業でも利用可能です。本章では、ファクタリングと飲食業の関係性について解説していきます。
クレジットカードなどのキャッシュレス決済によって発生した売上の未入金分は、売掛債権として利用することが可能です。そのため、飲食業の方でもファクタリングを利用することができます。様々な要因により資金不足に陥った場合は、ファクタリングを活用することで資金繰りを改善することが可能です。
キャッシュレス決済によって発生した売掛債権の売掛先は、一般消費者ではなくクレジットカード会社となります。クレジットカード会社は、売掛金が未払いになる可能性が低いうえ、倒産リスクが低いことから、飲食業はファクタリングの審査に通過しやすいといえます。また、ファクタリングの手数料は売掛金の未回収リスクに応じて設定されるため、売掛先の信用力が高い飲食業は、低い手数料でファクタリングを利用できる可能性が高いです。
飲食業がファクタリングを利用するメリットは以下の5つです。
ファクタリングでは、最短即日で資金調達することが可能です。飲食業では、売上を上げるために十分な食材を仕入れる必要があります。しかし、天候や社会状況の影響により売上が低下してしまい、買掛金を準備することができないことも珍しくありません。このようなケースでも、最短即日で売掛債権を現金化することができるファクタリングを利用することで問題なく対応することができます。
飲食業は、基本的に売上の発生から入金までの支払いサイトが存在しない現金取引であるため、融資による運転資金の確保が難しい状況にあります。しかし、ファクタリングは売掛債権を保有していれば利用することができるので、運転資金の確保にも活用することが可能です。ファクタリングを利用するには審査に通過する必要がありますが、融資とは異なり売掛先の信用力や債権の内容を重要視するため、赤字経営や税金滞納に陥っている方でも問題ありません。キャッシュレス決済によって発生した売掛債権の売掛先は、信用力の高いクレジットカード会社であるため、飲食業の審査通過率は他の業種と比べて高いといえるでしょう。
ファクタリングは融資などとは異なり、「売掛債権の売買契約」であるため、調達した資金は負債になりません。そのため、金融機関からの評価が下がる原因となる債務超過や貸借対照表の肥大化などの心配がありません。むしろ、ファクタリングで調達した資金を活用して負債を減らすことで、貸借対照表をスリム化することができ、金融機関からの評価を高めることができます。新規店舗の出店や改装など多額の設備資金を融資によって調達するためにも、ファクタリングを活用して企業価値を高めるようにしましょう。
ファクタリングの手数料は、売掛先の信用力や売掛金の支払期日など、ファクタリング会社側が背負うリスクに応じて変動します。そのため、売掛先の信用力が低い場合や売掛金の支払期日が長い場合は、手数料が高くなってしまうのです。しかし、飲食業が保有している売掛債権の売掛先は信用力の高いクレジットカード会社であるうえ、売掛金の支払い期日までの期間も1ヶ月程度と比較的短いため、他の業種がファクタリングを利用する場合と比べて手数料が低い傾向にあります。
ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の2社間で取引を行う「2社間ファクタリング」と売掛先も参加し3社間で取引を行う「3社間ファクタリング」の2種類の契約方式があります。このうち2社間ファクタリングでは、ファクタリングの利用に関して売掛先に通知する必要がないため、クレジットカード会社に知られることなく、売掛債権を現金化することが可能です。
飲食業がファクタリングを利用する際の注意点は以下のとおりです。
すべてのクレジットカード会社は、クレジット決済によって発生した売掛債権の譲渡を禁止しています。また、加盟店規約によりクレジット決済によって発生した売掛債権を譲渡した場合は、加盟店契約を解除できるとしています。つまり、クレジット決済によって発生した売掛債権をファクタリングで利用した場合は、加盟店規約の違反によりクレジットカード会社から加盟店契約を解除される可能性があるのです。昨今では、キャッシュレス決済の普及が著しく、現金を持たない方も増えているため、クレジットカード会社の加盟店契約を解除されることは、飲食業の方にとって大きなリスクだといえるでしょう。ただ、利用者とファクタリング会社で取引を完結することができる2社間ファクタリングでは、ファクタリングの利用がクレジットカード会社に知られてしまう心配はありません。そのため、飲食業のファクタリングは、基本的に2社間ファクタリングのみの利用となることを覚えておきましょう。
クレジット決済を導入すると、クレジットカード会社に対して決済手数料を支払わなければいけません。決済手数料は、各クレジットカード会社によって異なりますが、決済代金の3%~10%程度になることが一般的です。次にファクタリングを利用する際は、手数料が発生します。飲食業の売掛先は未回収リスクの低いクレジットカード会社であるため、一般的な手数料よりも低い傾向にあります。しかし、未回収リスクが低くても手数料は必ず発生するため、クレジット決済によって発生した売掛債権をファクタリングする場合は、決済手数料とファクタリング手数料の2つの手数料を支払う必要があります。飲食業は、利益率がそれほど高くない業種であるため、2つの手数料を支払うことによって、赤字になる可能性も否定できません。ファクタリングの手数料を抑える手段として、3社間ファクタリングの利用が挙げられますが、上述したようにファクタリングの利用がクレジットカード会社に知られてしまうと、加盟店契約を解除されてしまう可能性があるため、飲食業の方は基本的に利用することができません。そこでおすすめなのが「オンライン完結型ファクタリング」です。オンライン完結型ファクタリングとは、その名の通りファクタリングに関する全ての手続きをオンライン上で完結することができる取引のことです。ファクタリング会社側の業務負担が少ないことから、通常よりも低い手数料で利用することができます。ファクタリングの手数料を低く抑えることができれば、2つの手数料を支払ったとしても十分に利益を残すことができるでしょう。
今回は、飲食業が抱えている資金繰りの問題点や飲食業がファクタリングを利用するメリット、注意点について解説させていただきました。飲食業は、キャッシュレス決済の普及により、資金繰りが難しくなった業種の1つです。運転資金の調達が難しいうえ、天候や社会状況によって売上が変動することから、資金不足に陥っている飲食業の方も少なくはありません。しかし、キャッシュレス決済による売上の未入金がある場合は、ファクタリングを利用して最短即日で資金調達することができます。資金不足に陥っている飲食業の方は、ぜひファクタリングのご利用をご検討ください。