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売掛債権買取サービスとは、保有している売掛債権を買取業者に売却することで、売掛債権本来の支払期日よりも早期に現金化することができる金融サービスです。日本の企業間取引では「掛け取引」が主流となっているため、ほとんどの企業が売掛債権を保有しています。掛け取引には、取引時に発生する金銭・労力を抑えることができるというメリットがある一方で、支払いサイトがあるというデメリットが存在します。支払いサイトが存在する掛け取引では、商品・サービスの提供から実際に代金が入金されるまでに30~60日ほどの期間が空いてしまうため、資金力の低い企業は資金繰りの悪化につながる原因にもなりかねません。しかし、売掛債権買取サービスを利用することによって、支払いサイトを短縮することができるため、資金繰りを改善することが可能です。また、売掛先から支払期日までに支払いが行われず、保有している売掛債権が不良債権と化してしまうことを事前に防ぐこともできます。売掛債権買取サービスは、銀行融資などと比べると知名度が低いため、不安を抱かれている方もいますが、現在では金融庁も推奨するほど注目を集めており、利用者数は年々増加傾向にある資金調達方法となっています。
売掛債権とは、商品・サービスを提供した取引において後日請求することができる権利のことを意味しており、別名売上債権と呼ばれることもあります。企業間や個人間で取引を行う場合、その都度支払いをしていては金銭的にも労力的にも多大な手間がかかってしまうため、非効率となってしまいます。しかし、日本の企業間取引の主流となっている「掛け取引」においては、商品・サービスを提供するたびに現金をやり取りするのではなく、30~60日分をまとめて後払いで支払う形式がとられているため、効率的に取引を行うことが可能です。売掛債権は、このような掛け取引において代金を受け取っていない期間に売掛先に支払いを請求することができる権利となります。
売掛債権買取サービスには、2社間と3者間の2種類の契約方法があります。契約に方法によって、資金調達までにかかる時間や手数料、取引方法が異なるため、売掛債権買取サービスの利用前に理解を深めておきましょう。
2社間契約の場合は、利用者と売掛債権買取業者の2社間のみで取引を行うことになります。売掛先が取引に参加しないため、売掛先に知られずに資金調達することが可能です。また、3社間契約のように売掛債権買取サービスの利用に関して売掛先から承認を得る必要がないため、最短即日で資金調達することができます。ただし、売掛先が取引に参加しないことから、売掛債権買取業者側の未回収リスクが高くなってしまうため、3社間契約よりも手数料が高い傾向にあります。
3社間契約の場合は、利用者・売掛先・売掛債権買取業者の3者間で取引を行うことになります。3社間契約では、売掛債権買取サービスの利用に関して売掛先から承認を得なければいけないため、2社間契約よりも資金調達スピードが遅い傾向にあります。また、売掛債権買取サービスに関して理解が乏しく、利用を反対された場合はサービスを利用することができないうえ、「経営状況が悪いのでは?」と不安を抱かれてしまうケースがあるため、売掛先との取引に悪影響を及ぼしてしまう可能性も考えられます。しかし、売掛先も取引に参加することから、2重譲渡・利用者による売掛金の持ち逃げ・使い込みなどの未回収リスクが低くなるため、2社間契約よりも手数料が低い傾向にあります。
売掛債権買取サービスは、金融庁も利用を推奨するなど、近年注目を集めている金融サービスの1つです。利用者数も増加傾向にあり、利用者にとってメリットといえるものが多数あります。本章では、売掛債権買取サービスのメリットについて解説していきます。
売掛債権買取サービスの最大のメリットは、なんといっても資金調達スピードの早さです。銀行融資などと比べると審査が柔軟で、オンライン完結で利用することもできるため、遠方の企業であっても最短即日で資金調達することができます。銀行融資の場合は、利用者から長期的に返済をしてもらう必要があるため、利用者の信用情報・経営状況などを厳しく審査します。そのため、申込から実際に資金調達が完了するまでに数カ月掛かってしまうことも珍しくありません。一方、売掛債権買取サービスは、融資とは異なり売掛債権の売買サービスであるため、審査が柔軟です。特に2社間契約では、売掛債権買取サービスの利用に関して、売掛先から承認を得る必要がないため、即日で資金調達を行うことができます。
売掛債権買取サービスは、赤字決済や税金滞納を経験したことのある信用力の低い企業でも利用することが可能です。なぜなら、売掛債権買取サービスの審査では、売掛先の信用力と債権の内容が重要視されるからです。銀行融資の場合は、利用者の返済能力を確かめるために、利用者の信用情報や経営情報を詳しく調査するため、赤字決済や税金滞納を経験したことのある企業は審査に落ちてしまうでしょう。また、金融ブラックとなっている企業であれば、数年間は銀行融資を受けることが不可能です。一方売掛債権買取サービスでは、売掛先の支払い能力が重要であるため、売掛先の信用情報や経営状況が主な審査対象となります。そのため、赤字決済や税金滞納を経験したことのある企業でも問題なく利用することができます。銀行融資の審査に落ちてしまい、資金調達方法に困っている方は、ぜひ売掛債権買取サービスの利用を検討してみてください。
売掛債権買取サービスは、他の資金調達方法と比べて手間が少ないというメリットがあります。というのも、他の資金調達方法と比べて利用する際に提出を求められる書類が少なく、基本的に身分証明書・請求書・通帳のコピー・売掛先との基本契約書の4つの書類があれば審査を受けることができます。また、オンライン完結で利用できるサービスもあるため、売掛債権買取業者のもとに足を運ぶ手間もありません。このように、資金調達にかかる手間が少ないことも、売掛債権買取サービスのメリットだといえるでしょう。
利用者と売掛債権買取業者のみで取引を行う2社間契約では、売掛先に知られずに資金調達することが可能です。というのも、2社間契約では売掛債権買取サービスの利用に関して、売掛先から承認を得る必要がありません。売掛債権買取サービスは、比較的新しい資金調達方法であるうえ悪徳業者も存在していることから、売掛先から承認を得ることは難しいのです。また、売掛債権買取サービスを利用することによって、売掛先から「経営状況が悪いのでは?」など、不安を抱かれてしまう可能性が高く、今後の取引に悪影響を及ぼしてしまうことも考えられます。しかし、2社間契約では売掛先に知られずに資金調達することが可能であるため、売掛先との取引に悪影響を及ぼしてしまう心配がありません。
売掛債権買取サービスには、上述したメリットのほかにも多数のメリットがあります。しかし、利用者にとってデメリットが存在することも事実です。そのため、売掛債権買取サービスを利用する際は、事前にデメリットについても理解しておきましょう。本章では、売掛債権買取サービスのデメリットについて解説していきます。
売掛債権買取サービスを利用する際は、必ず手数料が発生します。手数料の相場は、2社間契約で10~20%、3社間契約で1~9%で、銀行融資などと比較すると高い傾向にあります。手数料が高ければ、実際に入金される金額が少なくなるため、利用者にとってはデメリットだといえるでしょう。手数料は資金繰りの悪化につながってしまう可能性もあるため、できるだけ手数料の低い売掛債権買取業者を利用するようにしましょう。
売掛債権買取サービスでは、売掛債権の額面以上の資金調達を行うことができないため、調達できる資金に限界があります。また、上述したようにサービスを利用する際は必ず手数料が発生するため、実際に入金される金額は売掛債権の額面よりも少なくなってしまいます。一方銀行融資の場合は、億単位での資金調達も可能であるため、大規模な資金調達を行いたい場合には銀行融資の方がおすすめです。このように調達できる資金に限界があることは、利用者にとってデメリットだといえるでしょう。
売掛債権買取サービスは、審査通過率が高く資金調達スピードの早さにも定評があるため、様々なシーンで活用することができます。特に資金繰りの苦しい中小企業や融資を受けることが難しい個人事業主にとっては、最適な資金調達方法だといえるでしょう。本章では、売掛債権買取サービスを利用すべきケースについて解説していきます。
企業活動を行う中で、資金繰りの悪化や急な支払いが発生した場合など、急いで資金調達を行わなければいけないケースがあるかと思います。そのようなケースでは、売掛債権買取サービスがおすすめです。銀行融資では大規模な資金調達を行えるものの、利用者の返済能力を確かめるために入念に審査を行うため、資金調達までに数週間~数カ月ほどかかってしまいます。また、審査時に提出を求められる書類が多く、担保・保証人の用意も必要であるため、銀行融資は急いで資金調達を行いたいケースに適していない資金調達方法だといえるでしょう。一方売掛債権買取サービスでは、審査が柔軟であるうえ審査通過率も高いため、最短即日で資金調達を行うことが可能です。また、オンライン完結型のサービスを提供している会社もあるため、遠方の企業でも同様に即日で資金調達を行うことができます。そのため、売掛債権買取サービスは急いで資金調達を行いたい場合に、おすすめの資金調達方法だといえます。
資金調達方法の中で一番知名度の高い「融資」ですが、審査に通過することは簡単ではありません。融資では、利用者の返済能力を確かめるために利用者の信用情報や経営状況を入念に審査するため、赤字決済や税金滞納を経験したことのある企業が審査に通過することはまずありえません。信用情報や経営状況に問題のない企業であっても、経営年数や売上など様々な要因から希望金額を調達できない可能性もあります。一方売掛債権買取サービスでは、審査の際に売掛先の信用情報や経営状況を重要視するため、赤字決済や税金滞納を経験したことのある企業でも利用することが可能です。このように、融資と売掛債権買取サービスでは審査対象が異なるうえ、売掛債権買取サービス方が融資に比べて審査が柔軟であるため、融資の審査に落ちてしまった場合でも利用することができます。
日本の企業間取引では「掛け取引」が主流となっているため、商品・サービスの提供から代金の支払いまでに支払いサイトが存在します。支払いサイトの期間に、売掛先が倒産や経営悪化などの理由により、売掛金の支払いが不能となった場合には、売掛金が未回収となってしまうため、多額の損失を受けてしまうことになります。しかし、売掛債権買取サービスを利用し、支払期日前に売掛債権を現金化することによって、売掛金の未回収を回避することができます。というのも、売掛債権買取サービスは、原則償還請求権のない契約であるため、売掛債権譲渡後に売掛金が未回収となった場合でも、利用者はその弁済を求められることはないのです。そのため。売掛債権買取サービスは資金調達だけでなく貸し倒れを防止する目的でも利用することができます。
本記事では、売掛債権買取サービスのメリット・デメリットや利用すべきケースについて解説させていただきました。売掛債権買取サービスは、審査が柔軟であるうえ、オンライン完結で利用できる、必要書類が少ないなどの理由から、資金調達スピードを重視している方におすすめの資金調達方法だといえます。売掛債権を早期に現金化することで、資金繰りの改善を図ることもできるため、資金繰りに不安を抱いている中小企業や個人事業主の方におすすめです。資金調達方法に悩まれている方は、ぜひ売掛債権買取サービスの利用を検討してみてください。