手形割引とファクタリングを比較その5|審査が若干異なる!
手形割引とファクタリングは、いずれも売掛債権を活用した資金調達方法であり、似通った仕組みを持つことから混同されがちです。実際に、両方を状況に応じて使い分けながら資金繰りを行っている企業も少なくありません。適切に活用できれば、急な資金不足や資金繰りの悪化といった経営上のピンチを乗り越える有効な手段となります。
しかし一方で、手形割引とファクタリングは「同じような資金調達法」でありながら、いくつかの明確な違いが存在します。その中でも特に見落とされがちなのが「審査」の違いです。どちらも審査が行われる点は共通していますが、実は審査の考え方や重視されるポイントが大きく異なっています。
一般的に「どちらの方が審査が厳しいのか」といった疑問を持つ方も多いですが、単純に難易度を比較するのは適切ではありません。なぜなら、手形割引とファクタリングでは、そもそも審査の対象となる部分が異なっているからです。つまり、審査が厳しい・甘いというよりも、「何を見られるのか」が違うと理解した方が正確なのです。
本記事では、手形割引の審査とファクタリングの審査について、それぞれの特徴やチェックされるポイントを分かりやすく解説していきます。これから資金調達を検討している方や、審査に不安を感じている方にとって、判断材料として役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
【関連記事】
即日入金を重視する方向けのファクタリングはこちら
手形割引の審査を徹底解説
・審査対象とは?
審査対象は手形の振出人(取引先)および依頼者(自社)です。
手形割引に関しては、業者として資金の回収は手形から実施します。通常通りに手形から回収できれば問題ありません。よって振出人の信用調査は実施されます。
振出人(取引先)の資金繰りはどうなっているのか?
振出人(取引先)の会社は黒字なのか?それとも赤字なのか?
振出人の資金繰りが良好であり、しかも業績も良い、ということであれば審査は圧倒的に有利になります。
一方で手形割引は依頼者(自社)も審査対象に入ってきます。
手形割引は振出人が支払えなかった時に依頼者に請求が来てしまうのです。償還義務がある資金調達法なので注意して対応しなければなりません。
不渡りが発生したら、当然業者はなんとかして回収しようとしますよね。その回収先が依頼者なのです。よって依頼者の状況も必ず確認されることに。
業績がどうなのか?
資金繰りはどうなっているのか?
債務超過になっていないか?
経営者の個人信用情報に問題はないか?
上記のようなことを調べ上げられてしまうわけ。
仮にあなたの会社の業績が悪かった場合には、手形割引の審査に落ちてしまう確率が高くなります。特に税金を滞納しているケースは資金繰りがかなり悪化している、と判断されてしまうケースがあるので注意が必要です。
・審査難易度はどうなっているの?
要は手形を担保とした担保型ローンのようなものなので審査は甘めです。
しかし振出人と依頼者の双方が審査に大きく関わってくるので、どちらか片方にでも問題があると利用できない可能性があります。その点を考えると若干利用は難しく感じでるでしょう。
ファクタリングの審査を徹底解説
・審査対象とは?
手形割引と同様に取引先と依頼者が審査に関わってきます。
しかしウエイトが全く異なっているのです。
ファクタリングについては、審査対象のメインは売掛先(取引先)です。自社に関しては全く審査がないわけではありませんが、ほとんど関係ない、と言っても過言ではありません。
そもそもファクタリングには償還請求権がありません。貸し倒れが発生したとしても依頼者に対しては請求できません。よって依頼者を審査しても仕方がないのです。
よって売掛先の状況のみが審査でクローズアップされることに。
自社が
赤字であっても問題ありません
税金を滞納していてもOKです
起業した直後でも利用できます
リスケ中でもOKです
他の資金調達法であればNGとなりそうなことが問題ないのがファクタリングの強みなのです。
・審査難易度はどうなっているの?
審査は甘いです。
自社の状況はほとんど関係ない、ということなので利用できるケースが多くなっています。
ただし取引先の状況によっては審査落ちになってしまうので、前もって売掛先の状況を確認しておくのもおすすめですよ。
また売掛先の会社規模によっても審査難易度が変わってきます。
売掛先の会社規模が大きい・・・審査は有利に
売掛先の会社規模が小さい・・・審査は不利に
売掛先の信用が審査に大きく関わるのです。
手形割引とファクタリングの審査で注意すべき共通ポイント
手形割引とファクタリングは、審査対象や考え方に違いがあるものの、どちらを利用する場合でも共通して注意すべきポイントが存在します。これらを理解せずに申し込みを行うと、「審査に落ちた理由が分からない」「想定より条件が悪かった」といった事態に陥る可能性もあります。ここでは、両者に共通する審査上の重要ポイントについて解説します。
まず第一に重要なのが、「債権の実在性と内容の明確さ」です。手形割引であれば受取手形が真正なものであるか、偽造や二重譲渡の恐れがないかが厳しく確認されます。ファクタリングにおいても同様に、売掛金が実際に発生している取引なのか、契約書や請求書、納品書などの成因資料をもとにチェックされます。取引の実態が曖昧な場合や、証拠書類が不足している場合は、審査以前の問題として断られる可能性が高くなります。
次に注意したいのが、「支払期日までの期間」です。手形割引・ファクタリングともに、支払期日が極端に長い債権はリスクが高いと判断されやすくなります。支払期日が近いほど、業者側としては回収見込みを立てやすいため、審査が有利に進む傾向があります。逆に、支払期日まで数か月以上ある場合は、手数料が高くなったり、審査自体が厳しくなる可能性がある点に注意が必要です。
また、「取引の継続性」も重要な判断材料となります。単発の取引よりも、過去から継続して取引が行われている債権の方が信頼性は高く評価されます。特にファクタリングでは、売掛先との取引実績が豊富で、毎月安定した請求が発生している場合、審査においてプラスに働くことが多くなります。
さらに見落としがちなのが、「契約条件や禁止事項」です。売掛金に譲渡禁止特約が付いていないか、手形に問題のある裏書がなされていないかなど、法的な制約も審査対象となります。これらは依頼者自身が事前に確認できるポイントでもあるため、申し込み前に一度チェックしておくことで、効率よく資金調達することができます。
このように、手形割引とファクタリングは審査の考え方こそ異なるものの、「債権の信頼性」「回収までの確実性」「取引の透明性」といった基本的な部分は共通して重視されています。これらを意識したうえで準備を整えることが、審査通過への近道となるでしょう。
審査の違いを理解したうえでの賢い使い分け方
手形割引とファクタリングの審査内容を理解すると、「どちらを選ぶべきか」は企業の状況によって大きく異なることが分かります。重要なのは、単純に「審査が甘い」「通りやすい」といった視点ではなく、自社と取引先の状況を踏まえて、最も適した資金調達方法を選択することです。
例えば、取引先の信用力が非常に高く、長年安定した取引が続いている場合には、手形割引が適しているケースがあります。審査では自社の財務状況も見られますが、業績が安定しており、不渡りリスクが低いと判断されれば、比較的低コストで資金調達が可能です。銀行や信用金庫を利用する手形割引であれば、信頼性の面でも安心感があります。
一方で、自社の業績が芳しくない、赤字が続いている、税金の支払いが遅れているといった状況では、手形割引の審査を通過するのは難しくなります。このような場合に有効なのがファクタリングです。ファクタリングでは、審査の中心は売掛先となるため、売掛先の信用力が高ければ、自社の状況にかかわらず利用できる可能性があります。
また、新規事業を立ち上げたばかりの企業や、設立間もない法人にとってもファクタリングは有力な選択肢です。実績や財務履歴が乏しくても、売掛先がしっかりしていれば審査を通過できるため、成長段階の企業にとって心強い資金調達方法と言えるでしょう。
審査の違いを正しく理解することで、「なぜ審査に通らなかったのか」「どの方法を選べばよいのか」が明確になります。自社の状況を冷静に分析し、審査の仕組みに合った資金調達方法を選択することが、安定した資金繰りにつながるのです。
まとめ:審査の違いを理解することが資金調達成功のカギ
手形割引とファクタリングは、どちらも売掛債権を活用した資金調達方法でありながら、審査の考え方や重視されるポイントは大きく異なります。この違いを理解せずに申し込みを行うと、「思ったより審査が厳しかった」「自社には向いていなかった」と感じてしまう原因になります。
手形割引では、手形の振出人だけでなく、依頼者である自社の経営状況や信用力も厳しくチェックされます。償還義務がある以上、業者は万が一の不渡りに備えて、回収先となる自社の支払能力を重視せざるを得ません。そのため、業績や資金繰りに不安がある企業にとっては、審査のハードルが高く感じられることもあるでしょう。
一方で、ファクタリングはノンリコースが原則であり、審査の中心は売掛先の信用力です。自社が赤字であっても、税金の滞納があっても、売掛先が健全であれば利用できる可能性がある点は、他の資金調達方法にはない大きな特徴です。ただし、その分リスクを業者が負うため、手数料が高くなりやすい点は理解しておく必要があります。
重要なのは、「どちらが優れているか」を一概に決めることではありません。自社の状況に合わせて正しい資金調達法を選択することが重要です。
どちらを利用するか迷った際には税理士など専門家に相談するのも一つの手段です。
審査の仕組みを正しく理解することは、資金調達を成功させるための第一歩です。自社に合った方法を選び、無理のない形で資金を確保することで、経営の安定化につなげていくことができるでしょう。