手形割引とファクタリングのどちらを資金調達手段として利用すべきか、判断に迷っている方も多いのではないでしょうか。どちらも企業が保有する債権をもとに資金を確保する方法であるため、仕組みが似ているように感じられがちですが、実際には性質やコスト面において明確な違いがあります。最適な資金調達方法を選択するためには、イメージや先入観だけで判断するのではなく、両者をしっかりと比較し、それぞれの特徴を理解することがとても重要です。 特に多くの方が気になるポイントの一つが、「どの程度のコストがかかるのか」という点ではないでしょうか。資金調達はスピードだけでなく、最終的にどれだけの負担が生じるのかも重要な判断材料になります。コストを正しく把握しないまま利用してしまうと、かえって資金繰りを圧迫させてしまう可能性もあります。 そこで今回は、手形割引とファクタリングにおける金利(手数料)の違いに焦点を当てて解説していきます。まず前提として、両者ではコストの呼び方自体が異なります。 手形割引:金利 ファクタリング:手数料 手形割引は金融機関や専門業者からの融資に該当するため、「金利」という形でコストが発生します。一方、ファクタリングは売掛債権を売却する取引(債権譲渡契約)であり、融資ではないため、コストは「手数料」として設定されます。このように、名称や仕組みには違いがあるものの、利用者にとってはいずれも資金調達に伴う実質的なコストである点に変わりはありません。 金利と手数料は性質こそ異なるものの、実際にどの程度のコストが発生するのかを把握しなければ、どちらが自社にとって合っているのかを判断することはできません。そこで本記事では、まず手形割引とファクタリングそれぞれの平均的な金利・手数料の目安を確認し、その違いをわかりやすく整理していきます。資金調達方法を検討している方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
【関連記事】
目次
銀行とノンバンクでは金利(手形割引料)が大きく異なっています。もちろん銀行のほうが金利(手形割引料)は低く、ノンバンクのほうが高くなっています。 銀行の金利(手形割引料)・・・1.0%から5.0%程度 ノンバンクの金利(手形割引料)・・・3.0%から15.0%程度 銀行のほうが圧倒的に低く設定されており、有利な手形割引ができることに。一方でノンバンクに関しては、金利が高くなりやすい傾向があります。。10.0%を超えてくることも珍しいわけではありません。 ただし手形割引に関しては貸金業法の適用があります。よって利息制限法が関わってくるので、法外な金利が設定されてしまうことはありません。どんなに金利が高かったとしても、20.0%以下に抑えられます。また手形の金額によっては18%以下や15%以下に限定されることに。
ファクタリングに関しては銀行ではなくファクタリング業者が行っているものです。 よって業者によって手数料率は様々です。 しかし取引方法によって手数料率がだいぶ異なってくるのは事実です。ファクタリングには2社間取引と3社間取引があります。どちらを選択するのかによっても手数料率はだいぶ変わってきます。 2社間取引の手数料率・・・10%から30%程度 3社間取引の手数料率・・・1%から10%程度 2社間取引よりも3社間取引の方がだいぶ有利に設定されていることがわかると思います。 2社間取引の場合は、売掛金は通常通りにファクタリング利用会社に入ってくることになります。ファクタリング業者はファクタリング利用会社から売掛金を受け取ることになります。 一方の3社間取引ですが、売掛金は売掛先から直接ファクタリング業者へ振り込まれることに。業者としては3社間取引のほうがリスクは低いことになるので、手数料率が低く設定されるのです。
手形割引とファクタリングを比較する際、どうしても金利や手数料といった「コスト面」に目が向きがちですが、それだけで資金調達方法を判断してしまうのはあまりおすすめできません。なぜなら、実際の使い勝手や経営への影響は、コスト以外の要素によって大きく左右されるからです。 たとえば、資金調達までにかかる時間、審査の柔軟さ、必要書類の多さ、取引先への影響、将来的な資金調達への影響などは、企業ごとに重要度が異なります。金利や手数料が多少高くても、「すぐに資金が必要」「銀行融資が難しい」「取引先に知られずに資金調達したい」といった事情がある場合には、結果的に適した方法になることも少なくありません。 自社の状況に合わせて資金調達を行っていくことが重要です。 また、手形割引は不渡りが発生した場合に償還請求権が発生するため、最終的なリスクは自社が負うことになります。一方、ファクタリングは原則として償還請求権(ノンリコース)がなく、売掛先が支払えない場合のリスクを業者が負うケースが一般的です。このようなリスク構造の違いも、単純なコスト比較では見えてこない重要なポイントです。 資金調達は「安ければ良い」「早ければ良い」という単純なものではありません。自社の資金繰り状況や経営方針、取引形態を踏まえたうえで、総合的に判断することが重要だと言えるでしょう。
資金調達を検討する理由として多いのが、「とにかく早く現金が必要」というケースです。そのため、手形割引とファクタリングを比較する際には、資金調達スピードの違いも重要な判断材料の1つとも言えます。 一般的に、ファクタリングは資金化までのスピードが非常に早いのが特徴です。特に2社間ファクタリングの場合、売掛先への通知や承諾が不要なため、最短即日で入金されるケースも珍しくありません。書類さえ揃えばスピーディーに現金化できる点は、急な支払いが発生した場合や資金繰りが逼迫している場面では大きなメリットになります。 一方、手形割引は銀行を利用する場合、審査に一定の時間がかかることがあります。ノンバンクであれば比較的早く資金化できることもありますが、それでもファクタリングほどの即時性は期待しにくいのが実情です。また、手形の内容や振出人の信用状況によっては、割引自体を断られる可能性もあります。 そのため、「多少コストがかかっても、今すぐ資金が必要」という状況ではファクタリングが向いており、「時間に余裕があり、できるだけ低コストで調達したい」という場合には手形割引が選択肢になることが多いでしょう。資金調達の緊急度を明確にすることが、適切な方法を選ぶためには重要なポイントです。
ファクタリングはすべての企業に万能な資金調達方法というわけではありませんが、特定の条件に当てはまる企業にとっては、非常に相性の良い手段だと言えます。 たとえば、売掛金による取引が中心で、入金サイトが長くなりがちな企業は、ファクタリングを活用することでキャッシュフローを大きく改善できます。売上は立っているものの、入金までの期間が長いために資金繰りが不安定になっている場合には、有効な選択肢となるでしょう。 建設業や運送業などでは、45日〜60日サイトでの取引が一般的なケースも多く、ファクタリングとの相性が良い業種だと言えるでしょう。 また、銀行融資の審査に通りにくい企業や、これ以上借入を増やしたくない企業にもファクタリングは向いています。負債として計上されないため、財務状況を悪化させずに資金を確保できる点は大きなメリットです。創業間もない企業や、直近の決算内容に不安がある企業でも利用しやすいのが特徴です。 さらに、「取引先に資金調達の事実を知られたくない」という場合には、2社間ファクタリングを選ぶことで、取引関係への影響を最小限に抑えることができます。資金調達の柔軟性やスピードを重視する企業にとって、ファクタリングは非常に実用的な手段だと言えるでしょう。 このように、自社の取引形態や資金繰りの状況を冷静に見極めることで、ファクタリングは単なる「コストの高い資金調達」ではなく、経営を支える有効な選択肢となります。
手形割引とファクタリングのどちらが有利な資金調達方法なのかについては、「こちらのほうが必ず良い」と一概に言い切ることは難しいです。なぜなら、手形割引は利用する業者の種類によって金利が大きく異なり、銀行とノンバンクでは条件に大きな差が生じるからです。一方で、ファクタリングについても、2社間取引なのか3社間取引なのかといった取引形態によって手数料率が大きく変わってきます。同じファクタリングであっても、条件次第ではコストに大きな差が出るため、単純な数値だけで優劣を判断することは非常に難しいと言えるでしょう。 そのため、金利や手数料といった「表面的なコスト」だけを基準に比較するのは、あまりいい方法とは言えません。どうしてもコストが気になる場合には、手形割引とファクタリングの両方について、実際に業者へ申し込みを行い、具体的な見積もりを取ってみるのが最も確実な方法です。両者は利用する債権の種類が異なり、手形割引は受取手形を、ファクタリングは売掛金を対象とするため、同時に検討や申し込みを行ったとしても特に問題はありません。複数の選択肢を並行して検討することで、より自社に合った条件を見つけやすくなります。 また、資金調達方法を選ぶ際には、金利や手数料だけでなく、自社の取引形態や資金繰りの状況を踏まえたうえで選択することが重要です。企業によって、掛取引が中心の場合もあれば、手形取引が主流の場合もあります。そもそも保有している債権の種類が異なれば、選択肢として適している資金調達方法も自ずと変わってくるのです。そのため、「金利が低いから」「手数料が安そうだから」といった理由だけで選んでしまうと、実際の運用面でミスマッチが生じる可能性もあります。 さらに、資金調達のスピード、取引先への影響、将来的な財務への影響といった要素も無視できません。これらを総合的に考慮したうえで、自社にとって最適な方法を選ぶことが、安定した経営につながります。手形割引とファクタリングを金利や手数料だけで比較するのは、やや極端に言えば本質を見失ってしまう判断とも言えるでしょう。自社の状況に合った資金調達方法を冷静に見極めることこそが、最も重要なポイントなのです。