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ファクタリングを行う際の契約書完全ガイド!内容をしっかり確認して不利のないようにしよう!

ファクタリングは融資や手形裏書などに比べると迅速な現金化が可能な資金調達方法です。 しかし、融資や手形と異なり法制度、法規制が追い付いていない面があります。つまり、ファクタリングを行う際には、その契約は当事者間の合意に基づき、それに拘束されてしまうことが多いのです。 「銀行法」や「貸金業法」「手形法」など、それぞれの資金調達方法に特化した法律がないのが、ファクタリングのメリットでもあり、デメリットでもあります。 民法や商法の一般原則によって契約しなければならず、何か問題があっても、よほど権利濫用や不法行為になるような悪質な契約でないと無効も取消もできないかもしれません。 そうした事情もあり、ファクタリング業者と取り交わす契約書の内容が何より大切になります。 今回は、ファクタリング契約の際の契約書上の注意点や、契約のひな型などについて解説します。契約書を理解することで、申込人不利な契約の罠にかからないようになるはずです。

ファクタリング契約についてポイントを押さえよう

ファクタリング契約書について解説する前に、ファクタリング契約というものについて、今一度ポイントを押さえておきましょう。 ファクタリングは売掛債権譲渡契約です。ファクタリングによって資金調達したい人(申込人)とファクタリング会社で売買譲渡契約を交わし、申込人が受け取る売掛債権をファクタリング会社が買い取ります。 【売掛債権額-ファクタリング会社の手数料=現金化できる資金】になります。手数料が高い会社、安い会社、さまざまにあります。 「5月31日に100万円を受け取る権利を5月10日に80万円で買い取ってもらい、期日前に現金を手にする」と書くとわかりやすいはずです。 ファクタリングには、申込人とファクタリング会社で契約書を交わす「2社間ファクタリング」と、さらに売掛先(上の例だと100万円を5月31日に支払う取引先)も加えて契約書を取り交わす「3社間ファクタリング」があります。 3社間ファクタリングは、取引先にもファクタリングの事実がバレることになります。手数料は低めですが、今後の取引に対してさまざまな影響があることも考慮しなければなりません。 ファクタリングは内容にもよりますが、100万円単位(場合によっては数千万円単位)の売買契約になるため、契約書を取り交わすことになります。 もし、口約束で行うファクタリング会社があれば、その時点で「超ブラック」な地雷です。絶対に契約しないようにしてください。

ファクタリング契約の流れ

ファクタリングについて理解されたうえで、ファクタリング契約の流れについても押さえておきます。 まず、この申込人の債権を買い取ってもリスクがないか、ファクタリング会社による審査があります。申込人は問題がある人物ではないのか、ファクタリングを希望している売掛債権は本当に回収見込みがあるものなのか、売掛先の経営状態は大丈夫か(倒産されると回収できなくなる、などを総合的に判断してファクタリングの可否を決定します。 中古ゲームや本の買い取りであれば、現物がそこにあるので確認できますが、ファクタリングは「債権の買取」です。そこに現物があるわけではないので、融資ほどではないですが、審査は慎重になります。 ファクタリング会社の審査に通過すると、2社間ファクタリングの場合は、申込人とファクタリング会社で、3社間ファクタリングの場合は、さらに売掛先も加えて契約書を締結します。 この契約書締結によって、ファクタリング(債権譲渡契約)が法的に成立することになります。

ファクタリング契約書のひな型をチェック

ファクタリング契約書には一定のひな型があります。このひな型は絶対的なものではありませんが(民事契約なので当事者間の合意が優先)、欠けているものがあれば、あいまいに済ませたいファクタリング会社の意思が働いている可能性があります。 そうでなく、無意識に不完全なひな型の契約書テンプレートを作成しているならば、それはそれで債権譲渡契約を行う会社として、非常に問題です。 いずれにせよ、ファクタリング契約書を作成する場合は、以下の事項の記載が、契約書テンプレートにあるかどうかを確認してください。 ファクタリングの雛形として契約書に記載がある(ないと問題)な事項は以下になります。 ・譲渡する対象債権 ・債権譲渡通知 ・債権譲渡登記の有無 ・償還請求権の有無 ・ファクタリングの手数料の割合、金額 ・担保設定の有無 ・報告義務の有無 ・損害賠償、違約金 ・ファクタリング契約の解除 ・ファクタリングの契約期間と解約方法 テンプレートとしてこのような契約書になっていることが多いです。 甲:ファクタリング利用者、申込者 乙:ファクタリング会社、債権買取者 丙:甲の売掛先 と読み替えてください。

 


債権譲渡契約書

株式会社________(以下「甲」という。)と株式会社________(以下「乙」という。)とは次のとおり,債権譲渡契約(以下「本契約」という。)を締結した。

 

第1条(債権譲渡) 甲は,乙に対し,本契約に定める条件に従い,本契約締結日に,後記表示の債権(以下「本譲渡債権」という。)を譲り渡し,乙はこれを譲り受けた。

 

 

債 権 者 譲渡人(甲)

債 務 者 株式会社________代表取締役________(丙)

債権内容 令和__年__月__日付___契約に基づく債権金____円

弁 済 期 令和__年__月__日

 

第2条(売買代金) 乙は,甲に対し,本条と債権の対価として,金  円を本契約締結後  日以内に甲の指定する銀行口座に振込んで支払う。

 

第3条(通 知) 甲は,本契約締結後遅滞なく,丙に対し,確定日付ある証書をもって債権譲渡の通知をなし,または丙の承諾を取り付けるものとする。

 

第4条(担保責任等)

1 甲は,本譲渡債権につき,丙から相殺その他甲に対抗し得べき事由,または第三者による差押え等,何らの瑕疵負担のないことを保証する。

2 甲は,第3条の通知の効力発生に至るまでの間,乙の権利行使を妨げる行為をしてはならない。

 

第5条(専属的合意管轄裁判所) 本契約に関する紛争については,__地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。 本契約の成立を証するため本契約書を2通作成し,甲乙各記名押印の上,各1通を保有する。

令和__年__月__日

 

甲:住   所

  会 社 名   

  代表取締役    印

 

乙:住   所   

  会 社 名   

  代表取締役    印

 

引用:債権譲渡契約書|弁護士法人クレア法律事務所のひな型をもとに作成 https://www.clairlaw.jp/download/assignment_agreement.html


 

こちらは法律事務所作成の雛形ですので、必要最低限のことが過不足なく書かれています。ただし、これには手数料についての記載がありません。実際のファクタリング会社との契約書には、手数料についての記載があることも確認してください。 なお、「甲は,本契約締結後遅滞なく,丙に対し,確定日付ある証書をもって債権譲渡の通知をなし,または丙の承諾を取り付けるものとする」とあります。ファクタリングについて売掛先の承諾を得なさいという契約書ですので、これは「3社間ファクタリング」の契約書となります。

契約書を交わす際にチェックしたい項目はこれ!

契約書ひな型に記載すべきことがないケースも問題ですが、逆に、ファクタリング申込者が不利になる事柄が記載されていることもあります。 契約ですから、不利な条項でもサインしてしまえば、よほど公序良俗に反するようなものでなければ、有効な契約となり合法です。合法な契約は、あとで「問題だ」と気付いても取消しできませんので、契約書を交わす段階でチェックするのが大切です。 ご自身に不利な条項がないかどうか必ず調べてください。不利な条項も合法です。口車に載せられないようにお願いします。 では、ファクタリング契約書の各項目についてみていきましょう。 <h3>譲渡する対象債権 契約書にどの売掛債権を譲渡するのか、本当にファクタリングで買い取ってもらいたいものかどうか確認してください。別の売掛債権を買い取る契約になっていたら大変です。

債権譲渡通知の有無

本稿のテンプレート「甲は,本契約締結後遅滞なく,丙に対し,確定日付ある証書をもって債権譲渡の通知をなし,または丙の承諾を取り付けるものとする。」に該当します。 3社間ファクタリングの場合、この事柄が契約書に入っています。問題は、ファクタリングすることについて、申込者が売掛先に伝えるのか、ファクタリング会社が伝えるのかで違いがあります。 自分で伝える場合、心理的な負担、ストレスが大きくなりますが、長い付き合いの売掛先ならば、自分で説明した方が誠意が伝わるかもしれません。 2社間ファクタリングの場合、この債権譲渡通知は無しですが、もし、2社間ファクタリングにもかかわらず、この条項がある場合、ファクタリング会社が悪用する可能性があるので注意してください。申込人とファクタリング会社で完結する契約を外部に知らせるということは、邪な目的があるかもしれません。

債権譲渡登記の有無

ファクタリングに際して債権譲渡登記は必須ではありません。登記などの手間が省けるから、迅速な現金化ができ、それがファクタリングの長所になっています。 しかし、一部、高額な2社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社がリスクヘッジのために、権利関係を明確にするため、債権譲渡登記への同意を契約書で求めることがあります。

償還請求権の有無

この「償還請求権」の有無がファクタリング契約書最大のポイントです。償還請求権は「ない」のが当たり前で、「ある」契約はすべきではありません。 償還請求権とは、売掛先から資金を回収できなかった場合(倒産や経営不振など)、申込人がそれを返済しなければいけないという契約です。


申込人A

ファクタリング会社B

売掛先C

売掛金100万円

手数料20万円


 

の場合、ファクタリングによって、A社はB社に手数料20万円を支払い、80万円を手にできます。 期日が到来すると、B社がC社から100万円を回収します。C社が倒産や債務不履行で100万円を払えない場合、償還請求権付契約書を交わしていると、B社はA社に80万円の支払いを求めます。これでは何のために売掛債権を現金化したのかわかりません。 まるで、債権の売買ではなく、売掛債権を担保にした貸付(※)になってしまいます。当然、貸付=収支の場合は、融資関係の法律が適用となり、ファクタリング手数料を利率換算すれば違法になってしまうでしょう。そもそも、ファクタリング会社は銀行や消費者金融の許可は得ておらず、違法操業になります。

 

※弁護士ドットコム 2020年06月16日参考

https://www.bengo4.com/c_1/guides/1698/

 

償還請求権のあるファクタリング契約は、行ってはいけません。

ファクタリングの手数料

一般的に、ファクタリング手数料の相場は 2社間ファクタリング:10%~20% 3社間ファクタリング:2%~5% となっています。 それ以上の手数料を設定していることが契約書で確認できた場合、そのファクタリング会社はブラックな可能性が高く(反社会的勢力のリスクあり)、ファクタリング契約を結ばないでください。

担保の設定の有無

ファクタリングは売掛債権の売買です。中古ゲームを売るときに担保を設定する人はいません。ファクタリングに担保は不要です。売掛債権を査定し、ファクタリング会社の責任で買い取りを行います。 契約書に担保の設定に関する文章がある時点で、もはやファクタリングではなく担保付融資となります。ファクタリング会社が融資はできませんから、そのファクタリング会社は違法行為をしています。 担保設定に関する記載がある時点で、悪質業者であり、絶対に契約してはいけません。

報告義務の有無

申込人がファクタリング会社に対して、取引先(=売上先)の状況について報告する義務です。 売掛先に何かあった場合、ファクタリング会社が資金を売掛先から回収できなくなってしまいます。報告義務は償還請求権や担保とは異なり、あくまで報告するだけの義務で、金銭的な負担を申込人が負うことではありません。 したがって、報告義務がある契約書でも違法ではありません。何かあった場合、速やかに申込人はファクタリング会社に報告します。 報告義務がある契約で、それを怠ると損害賠償請求などを受ける可能性があります。 報告義務がないファクタリング契約もあります。そうした契約書を出すファクタリング会社は優良な会社のバロメーターとも言われています。

損害賠償、違約金

ファクタリングは、申込人、ファクタリング会社相互に義務があります。 申込人→ファクタリング会社に売掛金回収後支払う義務 ファクタリング会社→申込人に買取金額を支払う義務 この義務を履行できない場合、損害賠償請求や違約金の支払いを求められる可能性があります。 特に売掛金支払日が到来したのに、申込人がファクタリング会社に売掛金を振り込まない場合は、重大な違反行為になります。

ファクタリングの契約期間、解約方法

ファクタリングはゲームや本の売買と同じように、特定の債権売買なので1回で完結します。 しかし、ファクタリング会社の中には契約期間、つまり、ある会社からの売掛金買取を「自動更新」しているところがあります。 言い換えると、同じ売掛先から債権を勝手に買取って、それに伴う手数料を請求する、きわめて問題のある契約です。 しかし、これがあるから即違法、無効にはなりません。申込人の中には、売掛金回収期日前の資金調達をしたい人もいるようで、そうした人は、契約期間や自動更新を是とするケースもあります。 みなさまの考え次第ですが、通常は単発の取引をしたいはずですので、この条項について確認をお願いします。もし、自動更新の場合、解約方法もチェックしてください。スマホアプリ課金の解約と同様、解約方法のほうがはるかに面倒になっている可能性があります。

まとめ:ファクタリング契約書からファクタリング会社の素性が読み取れる

ファクタリングはまだ法制度が追い付いていない面があり、契約書次第で申込人にきわめて不利な条件も「合法」なものとして取り扱われます。 こちらも理論武装する必要があり、本記事では契約書の文言解説を中心にお話ししました。わずか1枚~2枚の契約書にもチェックポイントが多く含まれており、それを上手に読み解くことで、信頼できる優良ファクタリング会社なのか、悪質なブラック会社なのか、その素性がある程度わかります。 金融業と比較し、ファクタリング会社認可も厳格ではない部分があり、玉石混交の中で「玉」のファクタリング会社を見つけ出すため、ぜひ、実際の契約前に契約書のサンプル提出を求めるなどして、自己防衛を図ってください。 優良ファクタリング会社であれば、有用な資金調達手段としてファクタリングを活用できます。

 

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